僕は僕の青春を取り戻す【∞】2 (ページ35)

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◎はまださん

2017年1月1日。

『ういっす、濱ちゃん。あけおめ！』

「おお、晴人！あけおめ～」

今年も無事にジャニーズカウントダウンが幕を閉じ、新しい一年が始まった。
コンサートの熱気も冷めやらぬなか先輩方に挨拶を済ませ、俺たちもぞろぞろと楽屋に戻ろうとしていたとき。

『ふふっ、なんか今日は絶対濱ちゃんに喋りかけようって決めててん。』

背後から俺の肩をぽんっと叩き話しかけてきたのは、ファンの間では気まずいことで有名な関ジャニ∞の白岡晴人だった。

「そうなん？は～そんなん言われたら緊張するわ。」

『なにそれ～。いっつも普通に喋ってるやん。』

ライブ終わりでテンションが上がっているのか、肩を組んだままニコニコしながら歩き出す晴人。ほんまこの人、自由人やわ。

「うわっ！濱ちゃんと晴人くんが喋ってる！新年早々大雨ちゃいますか！？」

『シゲうるさい。新年はだいたい晴れやぼけ。』

俺らが仲良く歩いているのは物珍しいのか、後ろから来たシゲに茶々を入れられる。晴人はいつもの調子で軽くあしらい、俺らの楽屋に入ると何気ない世間話を始めた。

『そういえば濱ちゃん、ノンママ白書やっと見終わった！』

「まじ？あれ夏のドラマやで。」

『だって～録画溜め込んでてんもん！でも濱ちゃん出てるから頑張って見てん。』

「なんか照れるわ。」

『照れんといてよ、俺濱ちゃんの演技大好きやねんから。』

「俺の演技なんてエイトさんに比べたらまだまだやで。」

『たしかに…うちの亮さんには及ばへんか。』

「…そこは否定してよ！！」

俺と晴人は同じ2002年に事務所に入った同期で、同級生。
だけど、はじめのうちはそこまで仲が良いわけではなかった。

なんせ、事務所に入ってすぐに期待の目を向けられていた晴人は、同期の中で一番にマイクを持たせてもらっていた。仲良くなりたいと思ったのも束の間、晴人はあれよあれよと前方に押しやられ、気が付けば随分と遠い場所に行ってしまっていたのだ。

彼が関ジャニ∞の正規メンバーとしてデビューすると決まったときも、どこか遠い国の話のように思えて素直におめでとうと言えない自分がいた。

もちろんエイトさんとご一緒する機会はたくさんあったし、丸山くんなんかにはほんまにお世話になっている。声をかけるタイミングはいくらでもあったのに、素直になれない自分はなかなか晴人と上手く会話することができなかったのだ。