僕は僕の青春を取り戻す【∞】2 (ページ28)

今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:34,736 hit

Article.4 ページ28

◎雑誌連載

2015年4月。

【4】

2010年頃から、白岡さんは徐々に自分の身体に異変を感じ始めた。イライラすると気持ちが止まらなくなり、前髪の生え際あたりにある古傷が再び痛み始めた。

「おでこにある古傷は、昔ライブで怪我したときにできたものです。自分ではあまり覚えていないけど、大量の血が流れていて結構危なかったみたい。今となっては笑い話ですけどね。」

古傷が痛む原因のひとつに過度なストレスがある。当時の白岡さんはそれを知る由もなく、頭部のジンジンとした痛みを抱えながら仕事を続けていた。相変わらず、掲示板の中傷コメントを巡る習慣も続けていた。

この頃から、人目を気にするあまりプライベートでは外を歩けなくなってしまった。仕事が終われば直帰し、メンバーや友達とご飯に行くこともなくなった。

「当時の僕は、他人に弱い自分を見せてはいけないと思い込んでいました。完璧じゃなきゃだめだと思っていたからこそ中傷コメントを見るのは当然のように止められなかったし、誰にも相談できなかった。メンバーの前では平然を装って、強くあることでどうにか自分を保っていました。」

当然だと思っていたことが異常であることに気が付いたのは、2010年の夏。久しぶりに実家に帰った白岡さんを見て、家族は絶句したという。

「目の中に光がない。痩せてるし目の下のくまも酷いし、何かがおかしいって言われました。自分では何にも変わっていないと思っていたからびっくりしたしショックやった。でも、当時兄が心療内科のある病院で働いていたので、強制的に病院に行くことになりました。」

家族に半ば強引に心療内科を受診させられた結果「強迫性障害」と「うつ病」が併発していると診断された。

メンバーにもマネージャーにも、病気のことは言えなかった。紹介された心療内科にひとりで通う日々が始まった。

「家族には適当にごまかしてすぐに東京に帰ってきました。信頼している友人ひとりだけに通院していることを打ち明けて、それ以外の人には一切病気であることを隠していました。お医者さんを信用できなかったし、なにより自分が一番自分の病気を受け入れられなかった。だから、とにかくこの診断をなかったことにして仕事に励もうと思っていました。」

しかし、そんな生活も長くは続かなかった。

2010年12月31日、関ジャニ∞のカウントダウンコンサートのために大阪を訪れていた白岡さんは、ライブ前に薬を大量に摂取して意識を失い緊急搬送された。