僕は僕の青春を取り戻す【∞】2 (ページ26)

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＃ページ26

◎むらかみさん

「村上くんは厳しすぎるって～。晴人ちゃんも自分なりに頑張ってるかもしれへんし、ゆっくり支えてあげようや。」

「せやかて、もう3年も経つんやぞ。そうやってマルも大倉も甘やかすからあかんねん！」

イライラするのが良くないのは十分わかってる。
それに、晴人にも思うところがあるんやろうなってことも。

たかが3年。されど3年。

晴人の心を巣食った精神疾患がどんなものか、必死に理解しようともがいてきた。
彼が再びステージに戻って来れるように上に掛け合い、全力で晴人を支えると心に決めた。

それなのに、今の晴人を見ると無性に腹が立ってしまう。

バラエティ番組で地蔵のように黙りこくっている様子にも。初めて会うスタッフさんからはあからさまに目をそらし、警戒心を崩そうとしないその態度にも。ライブのMCで人の話を聞かずに突っ立っているその姿にも。

きっと、その行動が晴人にとっての防衛反応なのだと思う。
もう傷つかないように、壊れてしまわないように。
そんな不器用な行動でしか、彼は彼自身を守れないのだ。

「…晴人ちゃん、来月からラジオ始まるもんね。大丈夫かな。」

俺が新聞紙に目を落とすと、マルが眉を下げながらそう言った。先日公式発表されたその情報を、俺たちはファンの人たちと同じタイミングで知ることになった。

「個人仕事の再開、本人は嫌やったらしいけど、なんやラジオのプロデューサーが晴人のことめっちゃ気に入ってるらしくてな。断られへんかったってマネージャーが言っとったわ。」

そのプロデューサーさんというのが、先ほども話に出てきた晴人を褒めてくださった方。アホで突飛なこと考えてるって、ちゃんと褒め言葉やねんから。

だからこそ、これが最後のチャンスだと思う。

晴人がまた前向きになって、明るく喋れるようになるための、最後のチャンス。