僕は僕の青春を取り戻す【∞】2 (ページ24)

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＃ページ24

◎やすださん

〈しらちゃんね、安田くんの誕生日が近いから電話したかったんだって。〉

『ちょっと！先に言わんといてよ。』

「そうなん晴人？嬉しいわ。ありがとう。」

『まあ～章ちゃんにはお世話になってるもん。それだけやから。』

ありがとうとお礼を言うと、ぶっきらぼうな返事が返ってきた。ほんまにこの子は、素直なんか素直じゃないんかよお分からんわ。まあたぶん、よっちゃんさんがおる手前素直になるのは恥ずかしいんやろうな。

〈またまた～！しらちゃんの照れ屋な部分出ちゃってるよ！愛の言葉はもっとはっきりと伝えないと！〉

晴人がこんなにもいじられ倒されてることってグループじゃあんまりないから、このラジオはかなり新鮮やねんよな。彼の素直な部分とか、天邪鬼な部分とか、そのまんま引き出してくるよっちゃんさんには脱帽やわ。

〈ところでさ、関ジャニ∞もまた新しい体制になるじゃないの。先週しらちゃんとその話をしたんだけどね、安田くん的には何か思うところとかはあったりする？〉

しばらく話をさせてもらって、話題はグループの話に。たしか先週のラジオでの晴人の発言は、ネットニュースにもなってたっけ。

「う～ん。とにかく頑張るしかないですね。晴人もここ数年でほんまに頼もしくなりましたし、たくさん助けてもらってます。」

〈安田くんわかる？ほんっとにしらちゃんさ、大人になったよね。〉

よっちゃんさんは今までとは違う少し真面目な声になって、しみじみとそう言った。

きっと晴人と長年一緒にラジオをする中で、彼の良い時も悪い時も知っているのは僕らと同じだと思う。だけどよっちゃんさんは、僕らとはまた違う角度で晴人のことを見守ってくれている。

〈出会った頃のしらちゃんなんてもう最悪だったんだから。目も合わせてくれないし挨拶もしてくれなくて、トークなんてできたもんじゃないよ！でも今や打ち合わせも積極的だし、現場を回してるからね。〉

『そんなことないよ。現場回してるんは圧倒的よっちゃん。』

「晴人はうるさい人基本的に苦手やし、それで第一印象はあんまりやったんじゃないですか？」

〈こら！遠回しに僕の悪口言わないでよ。〉

晴人のラジオが始まったのは、たしか2015年くらいのことやったかな。

あの頃の晴人は、何かに行き詰っているような、出口のないトンネルにいるような、青年期を脱して必死に大人になろうとする最後の過渡期だった気がする。