Loneliness#5 ページ31
「課長、ここにいたんスか。他の個室で馴染むのはやめてくださいって何回も言ってますよね」
「おー悪い悪い」
「ほら、そろそろ解散しますよ」
サラリーマン──課長だったらしい。何やってるんだ──の部下と思われる男性が入ってきて、頭を下げてくる。
「うちの課長がすみませんでした。お詫びにここまでのお会計はこっちで持つので」
「え、いや、こっちも楽しんでたので」
「学生さん相手に迷惑かけた、社会人としてのお詫びです。どうせ課長のポケットマネーですし」
「よし二次会行くかー。海原は来るよな？」
「海原さんはさっき聞いたら帰るって言ってましたよ。仕事あるとかで」
「なんだ来ないのか。フリーランスも大変だなあ」
「あ、じゃあそういうことなので。本当に申し訳ありませんでした」
聞き慣れた名前が出て動揺している間に、男性が課長さんを連れて出ていく(本当にお会計を持ってくれたらしい、とは後日知った)。
出入口の方から喧騒に紛れて「海原、二次会は？」「今日は帰ります。週明けまでに終わらせたい仕事あるんで」「海原来ないと盛り上がらないだろ」「課長は下ネタに付いてこれる女性社員が欲しいだけでしょ」なんて会話が聞こえて、慌てて俺も荷物をまとめた。
「川上？」
「ごめん。俺帰るから。また誘って」
唖然としている友人達を尻目に、万札をテーブルに置いて出た。さっきの店員さんが、課長さんと話しているのをこれ幸いと店から出る。
目的の人は案外速く見つかった。同僚と思われる人達から少し離れた場所でスマホを弄っていたAさんに駆け寄る。足音で気付いたAさんが顔を上げて、目を丸くした。
「え、川上くん!?」
「Aさん帰るんですよね。送ります」
「え、いやいや、川上くん友達と飲みに来てたんでしょ？ いいよ、終電まだだし」
「──なんだ海原、彼氏いないって言ってたのに実はいたのか？」
「げっ、課長」
ありがとうございました、という店員さんの声を背に、さっきの課長さんが出てきた。Aさんの反応を見る限り、少なくとも今は会いたくないタイプの人ということは分かった。
「いつも二次会来るお前が来ないって言うから珍しいと思ったらそういうことか。よし、じゃあ彼氏くんにオジサンから金言を授けよう。──避妊はしっかりとな！」
物凄くいい笑顔で言った課長さん。隣から盛大な舌打ちが聞こえたけど、俺も正直相手がAさんの上司じゃなければ殴っていたと思う。
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氷室(プロフ) - ゆうさん» 遅レスで申し訳ないです。コメントありがとうございます。中身だけでなく文法まで見ていただいてありがとうございました。いつかまた書きにきます！ (2021年8月17日 19時) (
レス) id: 1bccd1cc64 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 凄く面白いし文法しっかりしてるしてるし、2人がくっつくまで最後まで見たかったのが悔やまれます (2021年8月5日 11時) (レス) id: b752a04231 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - シャボン玉さん» コメントありがとうございます。14時代からのラベンダー推しです！分かる人がいてちょっと嬉しいです笑 (2019年12月22日 20時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - 七海さん» コメントありがとうございます。川上さんが子供っぽすぎるかなあと思っていたので、可愛いと言っていただけて嬉しいです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年12月13日 18時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - こんな川上さんいたら、キュン死にする。かわいい(´・ω・｀) (2019年12月13日 16時) (レス) id: b66e2f7b3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：氷室 | 作成日時：2019年11月27日 0時
