Loneliness#1 ページ27
「Aさん今日飲みに行きませんか？」
長かったGWも終わってから数日経った頃。オフィスで福良さんの声が聞こえた。
「あー、ごめん今日は先約入ってるんだ」
ごめんね、と謝る声と、それに応える福良さん。福良さんはサシ飲みが好きだから、比較的すぐに掴まるAさんを誘うのは珍しくない。けどAさんが断るのは珍しい(誰とでも飲みに行くAさんだけど、当日突然飲みに行きたくなるタイプらしく空いてる友人がいないとボヤいていたことがある)。
「川上さんも今日飲みに行くって言ってましたよね」
「高校の同級生とやけどね」
「うわっ。灘会じゃん。算数王の集まりじゃん」
隣に座っていたこうちゃんから聞かれたから答えたら、俺が以前付けられた算数王のあだ名をいじられた。前にも言ったけど灘の中だと俺はそんなに計算速い方じゃないんだって……。
灘校は開成ほどじゃないけど東大進学が多い。東大に行けるけど関西圏の大学に行きたい人なんかは京大を受ける。俺の仲良かった人も京大に入った人が多い。今日はその内の一人が東京に遊びに来ているから、久々に集まろうと誘われた日だった。
「つか今気づいたけど姐さんと飲んだことないのって俺だけじゃん」
「……」
「え、なんで睨むんですか」
「別に」
なんでみんなAさんと飲みに行きたがるんだろう。いや、Aさんは素敵な人だし、東大生の悪癖である『語りたがるところ』も笑って聞いてくれるし、なんならユーモアある切り返しをしてくれる。急に誘ってもOKしてくれるし、一緒に飲んでて楽しい人なのは分かる。
けど、なんか面白くない。
「姐さん！ 今度俺とも飲みに行ってくださいよ！」
「お？ こうちゃんがそんなこと言うなんて珍しいね。いいよ。今月はあとガラ空きだから、いつでも言ってよ」
「予定無さすぎでしょ、それは」
「と、友達はちゃんといるもん！ みんな結婚してるから掴まりづらいだけで……」
「……なんかすみません」
下手な慰めなんかいらねぇよ！ と、手元にあったハンカチを投げつけるAさんと、謝りながら抗議するこうちゃん、Aさんの気持ちが分かる！ と女子トークを始める山森さん。
そんな三人を眺めながら、みんな結婚してるならAさんも結婚しようとは思わないのか、なんて人によっては失礼なことを考えていた。
Loneliness#2→←ガキの頃みたくまっすぐに#5.5
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 369人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
氷室(プロフ) - ゆうさん» 遅レスで申し訳ないです。コメントありがとうございます。中身だけでなく文法まで見ていただいてありがとうございました。いつかまた書きにきます！ (2021年8月17日 19時) (
レス) id: 1bccd1cc64 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 凄く面白いし文法しっかりしてるしてるし、2人がくっつくまで最後まで見たかったのが悔やまれます (2021年8月5日 11時) (レス) id: b752a04231 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - シャボン玉さん» コメントありがとうございます。14時代からのラベンダー推しです！分かる人がいてちょっと嬉しいです笑 (2019年12月22日 20時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - 七海さん» コメントありがとうございます。川上さんが子供っぽすぎるかなあと思っていたので、可愛いと言っていただけて嬉しいです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年12月13日 18時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - こんな川上さんいたら、キュン死にする。かわいい(´・ω・｀) (2019年12月13日 16時) (レス) id: b66e2f7b3d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：氷室 | 作成日時：2019年11月27日 0時
