ガキの頃みたくまっすぐに#2 ページ22
「お、おかえりー」
「……何やってるんですか」
風呂から出た俺を迎えたのは、須貝さんにドライヤーをしてもらっているAさんだった。Aさんは五月とはいえまだ肌寒いのに、アイスなんて頬張っている。
「この人ドライヤー嫌いなんよ。綺麗な髪なんだから手入れしろっていつも言ってるのに」
「両手塞がるのきらーい」
「そういう問題じゃないでしょ！ 悪い川上、俺も風呂入ってくるから交代してもらっていい？ ついでにお前も髪乾かせ」
「俺も普段タオルドライです」
「かーっ、この子達は！ 川上なんてそんだけ髪痛めつけてるんだから労りなさい！ 将来禿げても知らないよ！」
「ハゲって100％遺伝するらしいね。あ、須貝くんの着替えは…──」
「いつものとこでしょ？ おっけー。じゃ、川上、ちゃんと髪の毛労れよ」
俺にドライヤーを手渡した須貝さんがダイニングから出ていく。
髪への異常な思い入れも気になるけど、せっかく好きな人の髪を触れるイベントだから、今はそっちを優先する。
「ごめんね、川上くんにこんなことさせちゃって」
「いえ、役得です」
「あっはっは。そっか、役得か」
空になったカップをゴミ箱に投げ捨てたAさんの後ろに回って、ドライヤーのスイッチを入れる。触れてみたAさんの髪の毛は、染めまくって痛んでしまっている俺のとは段違いに柔らかかった。
「今日、押し掛けてしまってすみません」
「んー？ いいよいいよ。須貝くんもよく来るし、他の友達も突然来たりするから。アポ入れてくれるだけ上々」
「どんな友達ですか」
「突然来て料理だけして帰っていく友達とか」
「偏食家のAさんに手料理出せるって凄い人ですね」
「まあ付き合い長いしね」
ドライヤーの音に負けない程度の声量で何気ない会話。QuizKnockのメンバーといると自然と仕事モードになると以前言っていたAさん。流石に自宅だとそれは適用されないらしく、どこかのほほんとした話し方だった。
「そういえばこのパーカ、どう見てもAさんにはデカいですよね」
「うん。推しが出てた舞台のスタッフパーカなんだけど、推しのサイズを買っておいたら同棲してる気分味わえるかなって思って」
「それなかなか危ない思考では？」
「推しが好きすぎて好きなタイプが小柄童顔ショートカットになってる川上くんに言われたくないなあ」
モモコも勿論好きだけど、好きなタイプに限ってはAさんのことを指してるんだけど。
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氷室(プロフ) - ゆうさん» 遅レスで申し訳ないです。コメントありがとうございます。中身だけでなく文法まで見ていただいてありがとうございました。いつかまた書きにきます！ (2021年8月17日 19時) (
レス) id: 1bccd1cc64 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 凄く面白いし文法しっかりしてるしてるし、2人がくっつくまで最後まで見たかったのが悔やまれます (2021年8月5日 11時) (レス) id: b752a04231 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - シャボン玉さん» コメントありがとうございます。14時代からのラベンダー推しです！分かる人がいてちょっと嬉しいです笑 (2019年12月22日 20時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - 七海さん» コメントありがとうございます。川上さんが子供っぽすぎるかなあと思っていたので、可愛いと言っていただけて嬉しいです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年12月13日 18時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - こんな川上さんいたら、キュン死にする。かわいい(´・ω・｀) (2019年12月13日 16時) (レス) id: b66e2f7b3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：氷室 | 作成日時：2019年11月27日 0時
