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勇斗「Aは、何か感じたか？」
A「うーん……。悲しいかどうかはわからないけど、でも、何か言いたげだなとは思ってたよ」
言いたげ……。
物言わぬ映画が、何かを言いたげ？
これもまた、俺にはない感性だ。
あの映像を観て、どこをどう見ればそうなるのか。
まぁ、これは人間性や興味の度合いで変わってくる話だ。
隣にいる仁人と夏生さん、そして舜太も、俺と同じように"彼らは何を言ってるんだ"って顔をしている。
つまり、この映画に対して何かを感じることができるのは、太智とA、そしてこの謎の男、柔太朗の3人と言うことだろう。
太智「そう……。まるでそれは、悲しくて、泣いてるみたいな、そんな感じ……」
柔太朗「すごいね君。そこまで感じれちゃうんだ。よっぽど映画が好きなんだね？」
太智「は、はい……。まぁ……」
そうつぶやく太智の頬が、少し紅色に染まる。
すっかり気を許しちゃって、本当にこの柔太朗ってやつ、大丈夫なんだろうか。
勇斗「なぁ、柔太朗は、何か知ってるのか？
なんでこの映画館の周りが砂漠になったのか。
それから、この映画や、この世界、について……」
しかしながら、今それを気にしてる場合でもない。
少しでも、この周辺の砂漠化についての情報が欲しい。
勇斗「俺達の事、ずっと見てたって言うんなら、今俺達がどういう状況なのか知ってるだろ？
ぶっちゃけ、俺はまだあんたのこと信用してないけど、でも、もし何か知ってるなら、力を貸してくれないか？」
信用してないのに力を貸してくれなんて、失礼なのはわかっているけれど、ここでとっさに嘘をつけるほど、俺もすでに余裕はないし、大人でもない。
今だって、命がかかった切羽詰まった状態は、どんどんとエスカレートしていく一方なのだから。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年8月11日 17時
