【M!LK】漂流シアター～Winding Road～ 2 (ページ40)

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これで幽霊を見たものは3人になってしまった。
実際に見ていないから、何とも言えないが、皆こぞって白い服を着ていたという証言は一致する。
先入観、というものもあるだろうが、仁人はさっきまでそんな話信じていなさそうだったのに、同じように白い服の何かがシアタールームの方に入って行くのを見たのだと言う。
それを聞き、ふと視線を移すと、シアタールームへの大きな扉が半分ほど開いている。
俺も幽霊は信じていないけれど、こうも目撃者が立て続けに出てしまうと、否が応でも恐怖心が産まれてしまう。
でも、ここで確かめないわけにはいかない。
幽霊の出る映画館、何もない砂漠。
どちらも良い響きではないことは確かだ。
この映画館は、今の俺たちにとって唯一の休める場所だ。
そこがそんな得体の知れない幽霊騒ぎで恐怖の館になるのは、今のこの現状、まったく好ましくはない。

勇斗「お、俺が見てくる……」

A「え？ちょ、ちょっと待ってよ……」

勇斗「Aはここで皆と待ってろ」

A「は、勇斗……」

生唾を飲み込み、俺はシアタールームにこっそりと近づき、半分ほど開いた扉から中を覗いてみた。
カタカタカタと動く映写機の光に包まれ、スクリーンに砂漠の映像が映し出されている。
客席の方をざっと見回してみても、誰もいない。
ふっと息を吐き出すと、俺はもう少し確かめるべく、単身シアタールームの方へと入って行った。
一番後ろの映写室も覗いてみる。
けれど、やはり誰もいない。
白い幽霊なんて、やっぱりいない。
皆の見間違えなんだろうか。
そう思い、俺は座席の半分ほどまで降りると、もう一度スクリーンを眺めた。
昨日と変わらず、砂漠の映像、この映画館の外観、そして、あの地割れ。
それらが順番に切り替わりながら映し出されている。

勇斗「っ？！」

けれど、次の瞬間、ぱっと画面が切り替わったと思ったら、何とも信じがたい映像が映し出されたのだ。