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そこに映し出されていたもの。
それは、俺達が車で向かった先で見つけた、大きな地割れだった。
俺達があそこで見たままのその地割れが、大きくスクリーンに映し出されていたのだ。
太智「あれ……？こんな映像今まであったかな……？」
A「そうだよね……。私もずっと見てたけど、こんなの流れたことない……。
っていうか、どうしたの勇斗？顔色悪いけど……？」
勇斗「え……？あ、いや……だってこれ……」
今まで流れたことがない？
どいうことだ。
じゃあなんでここに映ってるんだ。
俺達が見たこの地割れが、何で急に映し出されるようになったんだ。
勇斗「この地割れ、俺達がさっき言った場所で見つけたんだよ……」
A「え……？」
突然のことに、俺の頭はついて行かない。
太智とAが言うには、俺達が車を使って外に行くまでは、こんな映像は流れていなかったという。
けれど、実際に今はこのスクリーンに地割れの場所の映像が流れ、また砂漠が映り、この映画館が映りを繰り返している。
それはまるで、俺達があの砂漠の中でこの地割れを見つけたから映るようになったかのように。
A「ねぇ……それってもしかして……」
ここで、一つの仮説が産まれる。
けど、それこそ信憑性も確信も何もない。
でも、今はそう考えるよりほかはない。
A「私たちがここで見たり経験したことが、この映画に映ってるんじゃない……？」
そう。
その仮説は、つまりそういうことだ。
俺達が見つけた場所が、このスクリーンに映し出されている。
それが何故かはわからないが。
ここに映る映画館の映像だって、最初はもしかしたら流れていなかったのかもしれない。
そこまではもう誰もう誰も覚えてはいないけれど、しかし、この地割れは確実に初めは流れていなかったらしい。
だとすれば、俺と舜太と仁人がこの地割れを見つけたことで、この映画に映りこむようになった。
そう考えられる。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年8月11日 17時
