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勇斗「何か、急にムラムラしてきちゃってさ、Aのこと、襲いそうになっちゃって……。
こんな場所で、こんな状況なのに、馬鹿みたいだろ？
それで我慢できなくなっちゃってさ……。
Aのこと想像しながら、やっちゃったんだよね……。
お前にばれそうになって、滅茶苦茶焦ったけど……」
突然何を言い出すんだろうって顔で、太智は涙にくれるその顔で、俺をしばらく見つめていた。
確かに、急に人の性 欲の話をされても困るだろうな。
でも俺がこれを話したのは、太智だけがそんな罪悪感を抱えてるわけじゃないってのを、分かってほしかった。
俺の馬鹿みたいな話が、太智が抱えてしまった罪悪感と同等じゃないのはわかっているけれど。
勇斗「お前が食欲を我慢できなかったのと同じように、俺もなんだかんだ言って、自分の欲望を我慢できなかった……。
こんな状況、つらすぎるよな……。
でも、だからこそ、俺達は皆で力を合わせなきゃいけないって思うんだ。
支え合って、助け合って……。
そうじゃなきゃ、今のこの現状は何も変えられない……。
それには、お前の助けも必要なんだ……。
だから頼む……。
一緒に、行かないか？
皆のところに。
大丈夫。
皆もわかってくれてる。
誰もお前を責めたりなんかしてないから」
太智「……本当に、いいんですか……？」
勇斗「良いも何も、言ったろ？お前の助けが必要なんだって。
だから、助けてください。
お願いします」
そう言って、俺は笑って太智に手を差し出していた。
俺の言ったことに、嘘偽りはない。
ここにいる皆で力を合わせれば、絶対に何か突破口が見つかる。
俺は、そんな気がしていた。
誰が一人欠けても、きっと駄目な気がするんだ。
太智「……ありがとう……ございます……」
そう言いながら、太智はさっきよりも大粒の涙を流していた。
そして、しっかりと俺の手を握り返してくれたんだ。
俺はそれだけで嬉しかった。
つらいこともあるけれど、こんな風に嬉しいことだって、沢山ここには転がってるんだ。
大丈夫。
きっと俺達は何とかなる。
確証も何もないけれど、俺はそんなわずかな希望がまた大きくなったのを感じていた。
勇斗「さ、行こうぜ。
あ、でも俺がシコってたってのは、Aには内緒な？！」
太智「……はい……」
そして、焦る俺の顔を見て、太智は少し微笑んでくれたような、そんな気がした。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年8月11日 17時
