Time goes by (ページ24)

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「面白いもの？」

ふっかさんの家には何度かお邪魔している。部屋が異常に広いことを除けば、どこにでもいる独身男性と変わらない家だと思う。正直面白みはない。

「こんなふっか見たことない、って思うはず」

「あの、阿部ちゃん？恥ずかしいんだけど。あいつの前でもいつもの俺じゃんか」

帰り支度をしているふっかさんはマスクをしながら、少し照れた様子で一瞥した。

「全然いつもじゃないよ。あの子がいる時のふっかはプラス甘々だから」

元々SnowManだった6人から度々聞かれる“あの子”の存在。9人で出演した『おそ松さん』に例えるならば、トト子ちゃんに該当する女性があの子だと思っている。

「というか、やっと紹介する気になったんだ？」

「まあな。あいつの立場的にこれからメンバーと共演していくのは確定だし」

「本音は？」

「……結婚を考えてるから、メンバーには紹介するべきだと思った」

だけど、加入してきたメンバーにはその存在を隠されてきた。それがどこか6人と3人の壁を作っている気がして少し寂しかった。ふっかさんを甘々にするあの子。

「マジで恥ずかしい。言わせんな……」

インタビューを聞く限り恋愛には超がつくほどドライなふっかさんが結婚を考えるほどのあの子。阿部ちゃんの言う通り、面白いものを見れそうだな、と感じた。

「ねえねえ、彼女さんってどんな人なの？」

支度を終えて3人で予約したタクシーに向かう。しばらく違う話題が続きつつも、乗ってから再びあの子の話題を切り出した。

「そんなに興味ある？」

「だってふっかさんの彼女だよ？いい男だけど癖強いじゃん。だからどんな人が相手してるのか気になって仕方がない」

「強くないのよ」

街に少しずつ活気が戻っている。窓から眺める街並みはマスクさえ外せばコロナの前と変わりないくらいだ。

「阿部ちゃん的にはふっかさんの彼女ってどんな子なの？」

「そうだなあ。まず、芸能界にいる人だね。これからめめがお世話になりそうなジャンルで昔っから頑張ってる人とでも言っておこうかな。というか、なってた」

「え？」

俺がお世話になった人の中にふっかさんの彼女がいる？
俺はSnowMan以外では俳優として頑張りたい。恐らく女優さんだ。SnowManは知らないとでも言いたげな涼しい顔をした女優さんの中にふっかさんが惚れた女がいるらしい。