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驚くほどにすっぽりとはまっている。そういえば去年の年末、辰哉くんに指輪のサイズを聞かれたっけ。
「気に入ってくれたらいいなぁ……」
再び人気が近づく。
「絶対起きんなよぉ……？」
さっきよりも強く感じる気配が私に重なった。手を握りながら唇が触れる。もはや起こそうとしているとしか思えない。
「これで起きたら白雪姫と王子みたいになっちゃうな……」
きっと照れているのだろう。らしくない、と。
『……辰哉くんも意外とこういうことするんだね』
目を覚ますタイミングを失いかけていたけれどここだと思った。
「ん？」
『だから、寝込みの私襲ったり、指輪着けてくれたりするんだなって』
「お前………、え？ 起きてたの？」
振り返って目を開けると、辰哉くんがキッチンで目を丸くしていた。次第に色白の頬も耳も赤く染めていく。
『ただいまぁ、のとこから起きてたよ？』
「最初っから起きてんじゃん……！」
やられた、とヘナヘナと戻ってきて私のお腹周りに抱き着く。顔をお腹に当ててグリグリしている。
「じゃあ、チューしたのは知ってる？」
『もちろん。お寿司1貫食べたのも知ってる』
「全部知ってんじゃん。だからまた出したの……？」
『そうだよ。明日の朝じゃなくても今から食べれるよって気持ちでね。なのに2度寝したって思われるんだもん』
疲れていたって辰哉くんに会いたい。会える距離にいたい。その上今日は私達が親友であり恋人となった大事な日でもあるのだから。
「まぁじでやられた……」
抱き締める腕の力が強くなる。本当に恥ずかしかったのだろう、意地でも顔を見られたくないのが伝わった。でも赤くなった耳だけは隠しきれていない。
『でもすっごく嬉しいよ。こうやって、指輪プレゼントしてくれて』
左手の薬指でリングが存在感を放つ。プラチナとイエローゴールドのリングは華やかながらシンプルでどんなコーディネートにも合わせやすそうだ。
『5年目もよろしくね』
お風呂上がりでシャンプーの匂いが漂う黒髪を私はそっと撫でた。辰哉くんに撫でられたように。
「……こちらこそ、よろしく」
顔を上げた辰哉くんは私を見上げながらはにかんだ。
『私からはピアスのプレゼントね？』
「いいの？」
『もちろん。辰哉くんのはピアスで私のはイヤリングになってるの。お直ししてもらっちゃった』
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年3月27日 21時
