Time goes by 2nd (ページ20)

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ハッピーサプライズページ20

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Aが福岡へ行ってから3日。たった3日が酷く寂しくて耐えられない。俺寂しがり屋じゃなかったはずなのにな……、と肩を落としながら家の鍵を開ける。

「ただいま……」

1人でいるのがなんとなく心もとなかった。今日は夜から音楽番組の生放送だったけれど歌舞伎の稽古はなかった。

ブランチの時間帯から翔太と買い物に出かけ、生放送の後は家に泊まってもらおうとしていた。残念ながら翔太は舞台稽古のためにゆっくり疲れを取りたいらしく、断られてしまったけれど。

『おかえりー』

とうとう幻聴まで聴こえる。いるはずのないAの声がダイレクトに……

「……え？ A？」

『Aだよ？』

「え？俺幻覚見えてる？」

『何言ってんの？ちゃんと目の前にいるよ？』

そう言って幻覚は楽しそうに笑って俺の頬を摘んだ。人の体温をじんわりと感じる。幻覚じゃない。Aがいる……！

「お前、嘘だろ！？福岡公演中は帰って来ないんじゃなかったの？」

いたずらが大成功したと言わんばかりに胸を張ってピースしたAは中に入ろうよ、と俺の腕を取った。

リビングに入ると、美味しそうな和食の夕ご飯が並んでいる。福岡で買ってきたのか、ご飯のお供として辛子明太子が並んでいる。

『まずはいただきますしようよ。それから色々話すね？』

「おう」

つい何時間か前まで福岡で公演していたはずのAが東京にいるなんて信じられなかった。去年のことが頭にあるから、てっきり丸々1ヶ月テレビ通話生活が待っているものだとばかり思っていた。

言われるがままにダイニングテーブルに座って手を合わせる。豚のしょうが焼きに油揚げと大根とえのきの味噌汁、切り干し大根の煮物。脇に添えられた白ご飯は炊きたてだ。

『今日手抜きご飯でごめんね？』

「どこが手抜き？ばっちり作ってるじゃん」

『なべしょーから連絡来たからさ。ふっかがAいなくて萎えてるって』

「そんなこと言われてたの？俺」

『そもそも私、辰哉くんに1回も帰って来ないとは言ってないよ？』

「あれ？」

よくよく思い出してみる。今回の舞台も福岡で1ヶ月公演があると報告を受けた。でも前回と違って公演数の偏りがあまりないとも言っていた。

キャストスケジュールも比較的まとまっているから、福岡にいる時間は長いけど東京との行き来になるだろうと。