雨空に桜色の花びらを (9) 【名探偵コナン/警察学校組】 (ページ20)

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甘くて、しょっぱい_4 ページ20

「アンタら警察が、モタモタ...時間かけてっからだろうが。
…捜査妨害だ？...ふざけんじゃねぇぞ」

「…」

自身の肩に乗せられた優也の顔を見つめ、眉を寄せた松田。

「俺は、…警察の奴らなんざ、全員ぶん殴りたくて仕方ねぇんだよ。
…コイツらは、…俺なんかよりももっと…。
それを、忘れてんじゃねぇぞ」

小さな声ではあるものの、
荒れた獣のような松田の言葉に、静かなため息を吐いた小嶋。

そして、ふと窓ガラスを見つめた後、
そのまま静かに運転席を降り、外に出ていった。

「…は？」

車内に残った松田は訝しげにその姿を目で追ったものの、どこかに行くつもりではないようで。
小嶋は、ボンネットの方へ回り込み、
気休め程度の屋根の下、車体に身体を預けて真っ暗な空を仰いだだけだった。

松田が捜査一課のオフィスで騒ぎを起こしたことはまだ小嶋の耳には入っていなかったが、
刑事である彼もまた、様々に思うところがあって。
もちろん、Aや優也の警備の意図もあり、監視のようなことをしている訳だが、
今は、松田という男とともに車内にいることは好ましくないことは、

考えるまでもなかった。

次々と降り落ちる水滴は、暗い背景の中で様々な色のライトを反射し、窓ガラスを綺麗に彩っていて。
松田は、
無意識に口から溢れそうになった舌打ちを、
優也の顔を目の前に再びすんでのところで飲み込んだ。

そうして、

いくつかの袋を手にAが小走りで戻ってくるまで、
車内には、優也の規則正しい寝息だけが響いていた。