SNOW DROP 【名探偵コナン/警察学校組】

ディスプレイ ページ33

翌週。
午後の訓練後、
景光がパンを片手に食堂に入ると、
そこにはAの姿があった。


「お疲れ、春宮さん」

『…』

「あれ、またイヤホンしてる？」

一瞬反応されず、
また音楽でも聞いてるのかと思いきや、
数秒して手を止めるとAがゆっくり振り向いた。


『お疲れ、諸伏くん』


手元には、相変わらずノートPCがある。

「ここ、座って良い？」

『…どうぞ』

そして、以前のように、
通路を挟んで座る景光。

「PCで何してるの？課題？」

それは、前に投げかけたものと同じ問い。
あの時は、明確な答えは貰えなかったが。

『…課題も、あるけど。』

「それだけじゃないのか。色々頑張ってんだな。春宮さん」

以前とは違い、
キーボードを打つ手を止めたまま、
視線を合わせてくるAに、
パンをかじりながら、笑いかける景光。

5人のうち、景光だけ、まだ”春宮さん”呼びだ


『…春宮で良い。』

「え？」

『貴方と仲が良い、降谷たちにもそう言ったから』

「降谷たち…。
…確かに、皆そう呼んでるよな。」

Aが、
降谷のことを呼び捨てにしていることに少し戸惑いつつ、
先日も、“ありがと、松田”、
と、松田を呼び捨てにしていたAの言葉を思い出す景光。
その時に見た、ふんわりした笑顔も。


「あ、でも俺は”春宮さん”でも――」

『女の子扱いされてるみたいで嫌なの。
…でも、貴方がそういうならどっちでも良いけど。』


そして、顔をディスプレイに戻したAだったが、

「ん。分かった。
じゃあ、”春宮”って呼ぶな。」

少し声色を変えて、ハッキリ答える景光に、
もう一度視線を合わせた。


「じゃあ、俺は諸伏…か、景光って呼んでよ。
じゃないとフェアじゃないだろ？」

『フェアって…』

降谷と似たようなことを言ってくる景光に、
Aは小さく息を吐いた。

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