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耳をつんざく警報音_2 ページ35

あの事件の犯人は、
両親を殺したのは、お前なんじゃないか。
そんな言葉をかけられたのを、Aは忘れてはいない。

斉木がヒートアップした先に口にした言葉だったとはいえ、
決して忘れることは出来ないものだった。


何故、謂れのない言葉を浴びせられるのか、
何故、つっかかるような態度を取ってくるのか、その理由は、Aには興味は無かった。
これまでにも似たような経験は何度もあるからだ。

容疑者かもしれない人間が何故警察学校に入れるのか、
そんな言葉も、
これまでに浴びせられた言葉と同じように聞き流していただけだった。


でも、もし、
もしも、斉木の兄であるあの男が犯人の1人だったとして、
その事実を斉木本人が知っていたとしたら、あんな風に自分につっかかってくるだろうか。
事件のことを蒸し返すような、
”斉木”という人物と何らかの関わりを持たせてしまうような行動をするだろうか。



松田の声を上の空で聞きながら、
グルグルと思考を巡らせる頭の奥に鈍い痛みを感じ、Aはキュッと顔をしかめた。



「桜庭さん…、大丈夫か?」


『…大丈夫です』


心配そうに少し体躯を曲げてAの様子を伺う降谷を横目に、
松田と視線を絡めたA。



『もし…、あの男が事件に関わっていたとして、
斉木さんは、詳しいことは知らないんじゃないでしょうか』

「…」

『私が、あの男…、斉木さんのお兄さんのことを聞いた時も、
理由がわからず戸惑って…、苛立っていた様子でしたし。
もし、本当にあの男が関わっているのだとして、
それを知っているなら、
斉木さんがわざわざ私に必要以上に関わってくるのは少し不可解です』


淡々と自らの口から溢れる冷静な言葉をやはり恨めしくも感じながらも、
Aは、腹の底まで満たすように静かに大きく息を吸い、それをゆっくり吐き出した。


松田には自分のまとまりのない推測を話していて。
感情のまま湧き出る言葉を、ポツリポツリと伝えてしまったはずで。

でも、こうして、どこか冷静に状況を整理しながら彼に反論するのは、
Aにはやはり、どうにも居心地が悪くて。
頭の鈍い痛みが身体の中にじんわりと広がっていくような感覚に、もう一度苦い息を吐いた。

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設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また,体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが,引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます!これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています! (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2022年8月4日 18時

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