SNOW DROP II (7)【名探偵コナン/警察学校組】

松葉杖と尋問_3 ページ42

東堂のまばたきの回数は明らかに上がっている。
4年前に取り調べた際とは明らかに違う、その姿に、
Aは表情1つ変えず言葉を続けた。

そして、Aの口から出た事実を知らない目暮は、
ただ、眉をひそめている。


『…五十嵐は五十嵐で、色んな”組織”と繋がり、金銭の授受が行われていた。
もちろん、あなたとの関係をはじめとした、不正なものを含めて、ね。
怪しげな組織も、おそらく含まれている。
…何らかの形で脅されていたんじゃない？――命の危険性もちらつかされて。』

「…」


デスクを見つめたまま全く視線が合わなかった東堂が、
初めてAの顔に視線を向けた。


『…その上、川端からも脅されるなんて、面倒で仕方なかったはずよね。
彼はお金には随分貪欲だったみたいだから。…彼の存在が、邪魔で仕方なかったはず。
五十嵐には歯向かえなかったみたいだけど、彼を始末するくらい、…簡単だったんじゃない？』

「…」


川端は、当初、アポ電強盗未遂に絡んでいるとして捜査線上に浮上してきた男だ。
彼が購入したと思われるプリペイド携帯と、
追っていた不審電話のIPが一致したことで、
あの事件に川端が絡んでいることはどうやら間違いなさそうだった。

犯人グループの言い分では、
何者かが話を持ちかけてきた。
一部分け前を貰えればそれで良い、などと言われていたそうだが、
何らかの方法で、全額奪い取るつもりだったのかもしれないと、予想できた。

東堂を脅していた、という情報が入ってきた今となっては、
相当金に執着していたことが分かるからだ。



『挙句、五十嵐の秘書との関わりを睨んで、
貴方の秘書のことを色々調べ続けている私のことも、…消そうと思った。
…ってところ？』

「…」


動揺は見え隠れしているものの、
まだ口を開かない東堂に、Aは小さなため息をついた。



『…まぁ、黙っていてもこちらは証拠を持っている訳だし。
それに貴方の秘書が逮捕されて、貴方との関わりを疑われるのは必須。
…4年前は、五十嵐”先生”にでもうまく動いてもらったみたいだけど、
もう、世間的イメージは地に落ちたんじゃない？東堂グループの。』

「…」


口を閉ざしたまま、ジロリ、とAを見つめる東堂。
少し、焦った様子で。

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