口論_4 ページ25
『こんなところに来て、平気なの?』
「…問題ない」
『怪我は…?』
「問題、ない」
ベッドに近づくも、少し距離をとったまま、
Aの足に巻かれた包帯に目を向ける降谷。
腹部の傷は、服を着ている状態では分かるはずもなく。
「そっちは、…大丈夫なのか」
『えぇ。”問題ない”、わ』
降谷の真似をするように、
少し口元を緩めたAは、手元のノートPCを静かに閉じた。
「傷、…開いたんじゃないのか」
『え?』
「6日前に、刺された傷だ」
『…貴方は知ってるのね』
「どういう意味だ」
『公安部の刑事さんは、…さっき顔を合わせた彼は、
“私”が刺されたってことは知らなかったみたいだから。
あの、――輪廻のヒカリの教徒に。』
「…」
『別に、”問題ない”わよ』
再び零されたAの同じ言葉に、
降谷は、ふぅ、と息を吐いた。
「それと」
『え?』
「…議員会館のセキュリティシステムをハッキングするなど、
二課には認められていなかったはずだが」
『…そもそも二課には捜査権はないわよ』
「だから――」
『でも、これは一課との合同捜査。
それをサポートするために、私が”勝手に”やったことよ』
2人は知る由もないが、
まさに数時間前、一ノ瀬が中森に告げたセリフと同じようなことを口にするA。
降谷は、まるで部下を叱責しているかのように苦々しい顔を浮かべていた。
「逃げられないようにLOCKをしたということか。
そして、…彼らの仲間が入ってこられないように。」
『そうね。』
「…だから、遠藤を連行させた後、もう一度LOCKをかけたってこと…か」
『そちらも、同じことをしていると思ってたけど。
それと、事務所付近、つまり自動ドアを越えた先の廊下には、…公安の人間がいるんじゃないかって、
思ってたんだけど。』
「…」
『こっちの捜査状況を考慮することはない、っていうのは十分理解してた。
だから、公安の人間のことを、彼らの応援を、期待してたわけじゃないわ。』
「…こちらとしては、大した妨害だったよ」
『…え?』
ふっ、と息を吐きながら、
険しい顔でそう口にした降谷に、Aは口を閉ざした。
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white12(プロフ) - 開設しましたらお知らせしますね!ぜひ、高さんが描いて下さった夢主ちゃんを見てみたいです! (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 高さん» コメントありがとうございます。な...なんと、そんな嬉しいことがあって良いのでしょうか...。本作を読んで頂けているだけでも嬉しいのに、イラストを描いて下さったなんて本当に嬉しいです!実はtwitterはやっていないのですが、この機に...とも考えておりまして。 (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
高(プロフ) - 夢主さんのイラスト勝手に書かせていただきました笑作者様見ていただきたいんですけどツイッターはやってないですか? (2020年2月16日 12時) (レス) id: 9e0ac4ae00 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - fujizakuraさん» 本作をお読みいただきありがとうございます。公開が遅くなり申し訳ありません。(8)は既に公開済みですので、引き続きお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月31日 14時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
fujizakura(プロフ) - 【8】がパスワードがかかっていて見れません (2020年1月30日 17時) (レス) id: 21ccb35895 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月20日 8時