かすり傷 ページ18
「…こ、この男は…」
「おそらく奴らの仲間だ。」
『…』
デスクに近づき、五十嵐に声をかけようとしていたAは、
部屋に入ってきた男たちをジロリと見つめた。
「…貴方は…」
Aを見て口を開いた人物。
それは、以前に見たことのある男だった。
(…あの時の…)
公安部に乗り込んだ時。
Aが詰め寄った男、降谷の部下である風見だ。
彼女は彼の名前など、知る由もないのだが。
風 「…妨害、していたのは貴方ですか」
はぁ…、というため息を零しながら、
足を怪我していることに気づいた風見は、厳しい顔でスマホを手にした。
風 「…そうか。使えなかった…」
まだ、妨害電波が出ている状態なのだ。
風見はAに近寄り、”電波を切ってください” 、と厳しい目で告げた。
『…まだ、ここに爆弾があります。』
風 「…え!?」
『他に仲間はいないんですか。遠隔操作をされれば、この部屋が吹き飛ぶかもしれません』
その言葉に、風見は焦った様子で、もう1人の男を見つめた。
自身の上司である、降谷の顔を。
Aもまた、彼の顔をちらりと見つめた。
“会館内の爆弾は解体した。
潜んでいた奴らの仲間もな―――”
Aが妨害電波のスイッチを入れる直前、
インカム越しに報告をくれた人物の顔を。
『五十嵐の身柄を最優先に――
…って、貴方たちにお願いするのは間違ってるわね』
デスクに手をかけ、よろり、と、立ち上がったAは、
静かに五十嵐に近づいた。
風 「いえ。こちらで連行します。」
口を閉ざし、険しい顔で、部屋の状況を確認している降谷。
倒れた男、部屋の壁にめりこんだ銃弾、床に転がったナイフ。
“こちらのテリトリーだ”
そんなセリフが聞こえてきそうだった。
『…そんなの、どちらでも良いわ。無事に連行してくれるなら』
風 「事情は後々、ゆっくり伺います。貴方からも」
はぁ、と大きな息を吐いたAは、
デスクの下から出てきた五十嵐が、風見に連行され、部屋を出ようとする姿を見ながら、
倒れた男へ近づいた。
左足を引きずりながら。
「…撃たれたのか」
『かすり傷よ』
複雑な表情の降谷に顔を向けず、
Aは倒れた男の手首を掴んだ。
『悪いけど…、手錠、貸してくれない?』
「…え」
『遠藤に、使っちゃったから』
遠藤が連行されたことを当然知っている降谷は、
Aの言葉に、スーツの内ポケットから手錠を出し、
彼女に手渡した。
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white12(プロフ) - 開設しましたらお知らせしますね!ぜひ、高さんが描いて下さった夢主ちゃんを見てみたいです! (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 高さん» コメントありがとうございます。な...なんと、そんな嬉しいことがあって良いのでしょうか...。本作を読んで頂けているだけでも嬉しいのに、イラストを描いて下さったなんて本当に嬉しいです!実はtwitterはやっていないのですが、この機に...とも考えておりまして。 (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
高(プロフ) - 夢主さんのイラスト勝手に書かせていただきました笑作者様見ていただきたいんですけどツイッターはやってないですか? (2020年2月16日 12時) (レス) id: 9e0ac4ae00 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - fujizakuraさん» 本作をお読みいただきありがとうございます。公開が遅くなり申し訳ありません。(8)は既に公開済みですので、引き続きお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月31日 14時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
fujizakura(プロフ) - 【8】がパスワードがかかっていて見れません (2020年1月30日 17時) (レス) id: 21ccb35895 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月20日 8時