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密会と煩悩 ページ26

翌朝。
二課のオフィスから出るAを、一ノ瀬が呼び止めた。


「春宮さん。もしかして、現場に行くんですか?」

『お疲れ。一ノ瀬。
…仮眠くらい取りなさいよ』

「徹夜は春宮さんも同じですよね」

『…これまで集めた情報は、核になる部分は全て”正式に”洗い直せた。
これから一課に伝えに言ってくるわ』


昨日は徹夜で、これまで集めた情報を”正式なもの”に変える作業を続けていた2人。
途中までは中森も手伝ってくれていたのだが、
”その先”は、中森には伏せていた事実だったため、2人で続けていたのだ。



「…でも、良かったんですか?」

『何がよ』

「Rヒ。…あの団体のこと、警部に言わなくて」

『一課の捜査令状を利用させて貰った形になったのは、…ちょっと申し訳ないけど、
今話せば、…捜査妨害になるから』

「え?」

『一ノ瀬も口外するんじゃないわよ』


Aがふっと申し訳なさそうに目を細めたことで、
一ノ瀬が戸惑った。


「捜査妨害って…、公安部の…ですか?」

『…』


小声で問いかける一ノ瀬に、Aは口を閉ざした。


「あの団体…、本当に公安が目をつけてる団体なんですか?
だとしたら…」

『貴方の深読み。…正しいかもしれないわ』

「…」


以前、自身の深読みする性格を褒められたことを思い出し、
一ノ瀬は複雑な表情を浮かべた。
それが正しいとすれば、結びつけようとしていた点と点は、
もう一つ増えたことで、ただの金の不正な流れというだけでは無くなっているのだろうから。


公安が追っている団体。
それはつまり、国家を脅かす組織の可能性があるということなのだから。


静かに開いたエレベーター内は、好都合なことに誰も乗っていなかった。



「…でも、公安が追ってるなら、二課は動けないんじゃ…」

『そろそろ動いてくれる…と思うんだけど』

「え…?」

『このままじゃ、二課が…、一課も…、先に動いてしまうかもしれないでしょ。』

「もしかして…」


階下に降りるエレベーターの中で、
ボソボソと言葉を交わす2人。
Aは、先日、自身が公安部に乗り込んだことについて、
その意図を説明するように口を開き始めた。

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設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - いずみんさん» 嬉しいコメントありがとうございます!更新頻度はややマチマチですが、ご容赦ください。今後もお楽しみ頂けたら幸いです。 (2020年1月15日 19時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
いずみん(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください (2020年1月14日 21時) (レス) id: 37077eec40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月12日 18時

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