検索窓
今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:76,740 hit

Liar_5 ページ36

『…貴方に、こうやって気を許すようになるなんて、
正直、不本意だったの。』

「は…?」


『また…、下心だとか、
弱みに付け込もうとしてるとか、…そういうことでしょって。
そんな風に思って。最低…だって』

「それは…」

駅まではもう少し距離のあるこの道は、
今日は特に人通りが少ない。

静かな路地にポツリと言葉を零し始めたAに、
わずかに視線を外し、葛藤している様子の彼女に、
萩原もまた、少し動揺し始めた。

彼は本来、こういうことには非常に勘の鋭い男だ。
それゆえ、軽い行動にも出てしまうという訳なのだが。


『見ないふりしてきた自分の弱さに、
…やっぱり不本意だったけど、…貴方の言葉で気づくことが出来て。
こうやって、新しく踏み出すことが出来て…、感謝してる。』

「…え…いや、だから俺は何も…」

『ちょっと…イラッとするけど、
それでも、やっぱり、…ありがとうって気持ちが大きくて。
だからきっと、自分のこと、…こうやって、話してしまうようになったんだって、
…そう、思ってた』

「…」


少しずつ伏せ目がちになるA。


萩原は、じわりと沸き上がりそうになる感情に、
どこかでやっぱり消すことが出来なかった自身の感情に蓋をするように、
口を開かず、黙ってAの話を聞いていた。

不本意だとか、イラっとするだとか言っているが、
彼女の表情を見れば、もしかして、と思ってしまう。
これから紡がれる言葉を、想像して、しまう。
そうした女を目の前に、
普段の彼なら、すぐさま手を出してしまうような場面なのかも、しれないが。

Liar_6→←Liar_4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (118 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
122人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。