違ぇんだよ_2 ページ2
「そんな状況で、何でわざわざこんな時間に1人で来たんだよって思うだろ。
まぁ…、”大丈夫”だとか、分かり易すぎる嘘ついてたけどな」
「…それで、彼女は?…1人で帰ったのか?」
「バカにすんじゃねぇよ。
そんな状態の奴、そのままにしておけるかよ」
「え…」
「1人で帰ろうとしてたけどな。
まぁ、ちゃんと付いてってやったから心配すんな。
マンションに入ってく時は、もう震えは止まってたみてぇだけどな。
…ただの強がりかもしれねぇけど」
口を閉ざし目を細める萩原に、
松田がどこか挑発的な視線を向けた。
「よく分からねぇけど、
萩がまだ連絡先すら聞いてねぇとは、驚きだな。
あの女、お前の下の名前も知らなかったみてぇだし」
「…うるせぇよ」
「米花町の、あのBarで知り合ったとか言ってただろ。
もうとっくに――」
手ェ出してるかと思ったけどな。
その言葉を口にすることはしなかった松田。
萩原に、ギロリと睨みつけられたからだ。
そんなことで萎縮する松田では到底ないのだが、
長年の付き合いの友人の、いや、親友の心情を多少は汲み取ったということだろうか。
松田は、
飲み込んだ言葉の代わりのように、
鼻で笑うような、しかし柔らかいため息を零した。
「…Barで知り合ったってのは、ちょっと違ぇんだよ。」
「何が違うんだよ。
前、あのBarで、あの女と一緒にいただろうが。」
「…そうやって、人のことおちょくってんじゃねぇよ。
菜々ちゃんと上手くいったからって、余裕こきやがって。
それに、月島さんとは、…そういうんじゃねぇんだよ」
「…チッ。軽々しく 菜々ちゃんとか呼んでんじゃねぇぞ。
ちょっかい出したらぶっ飛ばすからな。」
まるで口喧嘩のように言葉を交わしていた2人だったが、
“別に、余裕があるわけじゃねぇし”と小さく続けた松田の言葉は、
彼を睨むようにして見つめていた萩原の目を、わずかに優しくさせた。
松田と 菜々が付き合うことになるまでに、
萩原自身も多少関わって色々あった訳で。
そして、良い方向へと纏まった親友の状況に、
嬉しい気持ちがあるのは事実だ。
しかし、今はマンションの前まで来ていたというAのことで、
頭がいっぱいな訳で。
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時