Liar (2)【名探偵コナン】 (ページ10)

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好奇心_2 ページ10

そして、30分ほどして店を出たAは、
今度はあからさまに顔をしかめた。

「あ、来てたのか」

『…』

声の主に口を開くことなく、歩き出したAだったが、
ジロリと自身の隣に視線を向け、足を止めた。

『…何でついてくるのよ』

「んー。好奇心？」

『…は？』

「”Curious”ってやつ？」

Barの店名になぞらえたその軽口に、
Aはますます顔をしかめた。

『…通報するわよ』

「人聞き悪いこと言うなって。
…駅、そっちじゃねぇぞ？」

好奇心などと、萩原は適当なことを言っているが、
付けるようにして声をかけたのは、
米花駅とは違う方向へ歩きだすAをつい心配したゆえの行動だった。
Aはそんなこと知る由もなく、ただ、怪訝な顔で萩原を見据えているだけなのだが。

『別に、歩けない距離じゃないでしょ。
…貴方に関係ある？』

「え？歩いて帰るのか？」

『…だから、関係ない――』

関係ないでしょ、と歩き出そうとしたAだが、
腕を掴まれ、眉をひそめた。
そして、急に真剣な顔で自身を見つめてくる目の前の男に、
不本意にもわずかに動揺した。

「最近変な事件起きてるだろ。
…ちゃんと電車で帰れ」

『…貴方に関係ないでしょ。
ただの”好奇心”なら、放っておいて。』

酔いなどほとんど感じていないAだが、
湧き上がってきたモヤモヤを整理するため、一人で歩きたい気分なのだ。

萩原は、ふぅとため息を零すとそれ以上は何も言わなかった。

しかし――