Liar (2)【名探偵コナン】 (ページ41)

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米花デパートページ41

それから1週間が経った。

3月も中旬になり、もう随分と暖かくなった今日。
打ち合わせおよび事業についての営業のため、
米花デパートを訪れていたAは、
仕事を終え、肩をほぐすように軽く伸びをしながらエレベーターで階下に降りていた。

(…請け負ってる案件は、とりあえずこのまま進めて良さそうだから――、
その実績で正式な取引が成立すると良いんだけど…)

1つずつ減って行くモニターの数字を眺めながら、
先ほどの打ち合わせの内容を整理するA。

すると、エレベーター内に何やらアナウンスが流れてきた。

“お客様にお知らせします。
先ほど、駐車場付近で不審物が発見されたとの情報を受け、調査中です。
申し訳ございませんが、皆さまには直ちに店内から避難していただけますようお願いいたします”

少し焦ったような女性の声で、
スピーカーから流れるアナウンスに、
エレベーターの乗客がざわつき始めた。

「…不審物？」
「この間、杯戸ショッピングモールでもあったよな…爆弾が置かれてたってやつ」
「え…爆弾!?」

ざわざわと、パニックのように焦り始める乗客たち。
1Fに到着し、周囲の客に押されるようにエレベーターから降りたA。

フロアはやはりパニックに近い状態で、
中にいる客が自動ドアの方へと押し寄せていた。
平日の午後ではあるが、客が集まればかなりの人数だ。

ちらりと入口ドアの方を見ると、外には警官がちらほらと見えた。

(…また…駐車場…)

杯戸ショッピングモールの事件と同じ犯人なのだろうか。
不安げな顔で、客の波に押される形で入口の自動ドアへと向かうA。

『…っ…』

全治1ヶ月と言われていた右腕の怪我は、
もうかなり治ってきているが、やはり鈍い痛みは残っている。
周囲の客に押され、腕の痛みに顔をしかめるA。

そして、ようやく店内から外へ出ると、
外はものものしい雰囲気に包まれていた。
拡声器を通した声で、警官が客の避難を促しており、
それに従うようにして、Aも駐車場から離れた位置へと避難しようとするが、
焦って移動する客に飲まれてなかなか進めない。