重い瞼_5 ページ40
チリン…
そんなことを考えながら、サングラスを外し、
Café Rainのドアを開く松田。
「あ、松田さん」
「よぉ。」
「やっぱり今日も――」
「また、雨男かって聞きてぇのかよ」
互いに苦笑いを零す2人だが、
交わす視線は優しく、愛おしそうなもので。
「あ、もしかしてさっき、お客さんと話してなかった?」
「ん?」
「さっきまで店にいた女の人なんだけど…」
何やら心配そうな 菜々に、
小さく首をかしげる松田。
「かなり顔色悪そうだったから、ちょっと心配で。
もしかして、陣平の知り合い?」
「あー、いや、知り合いって訳じゃねぇけど。
…確かに、そう言われれば」
「サングラス掛けてたら分からない…よね。
知り合い、じゃないの?」
「まぁ…何とかアイスティーを平気で飲み干すヤツ。
知り合いの知り合いってヤツだな。」
「…は?」
事件の被害者を知り合いというのも、おかしな話だ。
とはいえ、捜査や事件の話を 菜々に話すつもりはなく。
事実を言ったまで、という松田の言葉に、
菜々は意味が分からないというように瞬きを繰り返している。
「それと 菜々、帰るときはちゃんと連絡しろよ」
「う、うん。分かってる」
「昨日も言ったが、また、変な事件が起きてっからな。
夜一人で帰んじゃねぇぞ」
松田にとっては、ただでさえ危なっかしい恋人なのだが、
先ほど顔を合わせたばかりのAの事件は、人ごとではないのだ。
偶然犯人に遭遇して、ナイフで襲われたA。
連続的犯行の爆弾事件の犯人として捕まえたものの、
またも似た事件が発生し、松田は気が気では無かった。
“じゃあ、ちゃんと連絡しろよ”、という言葉を残し、
松田は店を出て行った。
普段はコーヒーを飲んで行くのだが、
捜査が立て込んでいてその余裕が無い松田は、
再び傘を差すと、小さく舌打ちを零し、
車を停めた路地へと向かったのだった。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月5日 19時