Liar (2)【名探偵コナン】 (ページ39)

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重い瞼_4 ページ39

「…腕の怪我、大丈夫か？」

『え？』

「いや、事件の被害者だからな。
俺自身、刑事として気になるのもそうだが、
…萩のヤツが心配してっからな」

『萩…？』

傘を差したまま、何故か少し気まずそうに話す松田は、
ちらり、とAの右腕に視線を向けた。
威圧感のある風貌とは似つかわしく無い言葉を投げかけられ、
そして、よく分からないワードを投げかけられ、
Aは困った顔をした。

「あー、…萩原。アンタを助けた警官。
知り合いなんだろ？アイツと。」

『…知り合いっていうか』

松田の言葉に、
Aは困った表情を浮かべた。
しかし、重そうな瞼と、菜々に言われたとおり、顔色の悪い状態では、
それは、どこか辛そうにしか見えないものだった。

「アンタん家まで連れてくような真似して、悪かったな。
でも、様子が気になって仕方ねぇみてぇだったから」

『いえ。でも、もう大丈夫ですので。
それに、萩原さんは助けてくれたので。
…“大丈夫だから気にしないでください”って、伝えてください。』

「…一応伝えとくけどな、
まぁ…アイツもあぁ見えて、結構、
なんつーか、繊細なとこがあんだよ。」

『…え？』

この間も本人に伝えた気がするんだけどな、と考えつつも、
Aは、丁寧な口調で松田に告げたのだが、
目の前の松田の口からこぼれた言葉に、一瞬固まった。
一体、何の話だ、と。

「それと、また変な事件起きてっから、
充分気をつけろよ。」

『…はい。ありがとうございます。』

「…」

そして、何故かジッと見つめられ、
いや、自身の右腕あたりに視線を向けられ、
Aは気まずそうに、足早にその場を去った。

カバンを左肩に下げ、
そして、傘を左手で持っていたA。
無意識に右腕をかばっていることを見透かされたような気がしたからだ。

「萩のヤツ…、心配なら連絡先くらい聞きゃ良いだろうが…。
変なこと言っちまっただろ」

いつもは軽々しくそうした行動を簡単に出来る人物だ。
それが、あの事件後、
何やら気まずそうに一課の自身のデスクまで、Aの様子を聞きにきた萩原。
その後も、喫煙所で2-3度顔を合わせたのだが、
その度に彼の口から出るのはAを心配しているような言葉で。

1ヶ月前までは、
菜々のことで、
自身の勘違いのせいでしばらく口を聞かなかった親友。
それでも、長年の付き合いだ。
敢えて萩原の口から聞かずとも、Aを心配し、気にしていることは明らかだった。