止血 ページ13
『…牛乳買って帰ろ』
萩原と別れて2分ほどして、自宅マンションまではもう目の前というところで、
Aは、1本外れた路地へと足を向けた。
明日の朝食のことを思い浮かべ、
牛乳を切らしていたことを思い出したのだ。
そして近くのコンビニに立ち寄り、
牛乳パックの入った袋を下げ、今度こそ自宅に向かうA。
そして、ふと、横のマンションの横で、
こそっと何かが動いた気がして、反射的に視線を向けた。
(…ゴミ出しでもしてるのかな…)
黒っぽい服装。
暗いからそう見えるだけか。
特に気にせずその場を立ち去ろうとしたのだが、
踏み出そうとした足をピタリと止めた。
ギロリ、と視線を向けられたからだ。
フードを被った、その人物に。
『…え…』
思わず、ゾッと背筋を走る悪寒。
“最近変な事件起きてるだろ。
…ちゃんと電車で帰れよ”
何故か、さっきの萩原の声を思い出すA。
何やら不審そうなその人物に、
ふと、思い出した萩原の声に、
脳裏に浮かぶのは、10日ほど前に緑台駅近くで起こった不審物事件。
自宅マンションでも同様の事件が起こった、あの事件だ。
米花町の事件と合わせて、この2ヶ月ほどで3件の連続不審物事件。
そんなことを考えたからだろうか。
その人物の手元を見ると箱のような物体。
暗くてよく見えないが、
ネットニュースに乗っていた、
あの、小型爆弾のレプリカに似ているように見えたのは、考えすぎだろうか。
ただのゴミかもしれないのに。
そっとその場を去り、
念の為、回り道をするように自宅マンションに向かうAだったが、
『――っ…!』
すっと横の路地から目の前に現れた男に、大きく目を見開いた。
黒っぽいフードの男。
…おそらく、さっきの男だ。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月5日 19時