Liar 【名探偵コナン】 (ページ23)

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じゃじゃ馬_3 ページ23

『…』

「…大丈夫か？」

『…別に。』

北川が去った後、
顔を覗き込むようにして近づいてきた男に、
Aは不機嫌そうにポツリと呟き、細く息を吐き出しながら俯いた。

少し前にも似たような場面を見られたばかりの男、萩原に。

「…もしかして、泣いてる？」

『そんな訳ないでしょ。…触らないで』

心配そうに下からAの顔を覗き込むように、
そっと手を伸ばしてきた萩原だが、
その手をパシリと払われ、苦笑いを零した。

「…へぇ」

『悪いけど、帰る――っ…』

だらりと下ろしていた右腕を掴まれ、
すぐ横の路地の壁に背を向ける形で萩原に迫られたAは、
口を閉ざし、目の前の男を思い切り睨みつけた。

「…あんな風に、
作った笑顔貼り付けて、誰にでも抵抗しないって訳か？」

『…は？』

何やら口調が変わった気がする。
最初に言葉を交わした時、
そして、さっきBarで聞いた彼の言葉よりも少し乱暴なような、怒ったような。

「違うのか？…っ…と…」

不敵に口角を上げながら、
Aとの距離を縮めようとした萩原が胸の前で両手で受けたのは、

彼女の膝だ。

「おぉ。美人な割に結構なじゃじゃ馬だな。君。」

『…ふざけないでくれる？』

「…こうやって、あの男にも抵抗すれば良いんじゃねぇのか？」

蹴り出した膝を押さえられたまま、
片足で立つAは、さらにギロリと萩原を睨みつけた。