Liar 【名探偵コナン】 (ページ19)

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アイスティー_3 ページ19

( …どこだっけ…)

取引先か。
その他の仕事関係か。

しかし、相手はこちらには気づいていないようで。
どうやら仕事関係ではなさそうだと、Aは安堵した。

そして、萩原と同じくバーボンを注文した松田は、
萩原の隣に座るAに今更ながらに視線を向けた。

「…萩原。何で女連れてんだよ。
まさか、ここで引っ掛けたんじゃねぇだろうな」

「違ぇよ。人聞き悪いこと言うなよ、陣平ちゃん。この子は――」

『あの、気にしないでください。私、関係ありませんから』

変な話に巻き込まれたくない、と、
ピシャリとシャットアウトしたAの前に、
すっと、グラスが差し出された。

「お待たせしました。ロングアイランドアイスティーです。」

『ありがとう』

その、見た目はただのアイスティーの、
いわゆる、危険なカクテルに口をつけるA。

口をつけるといっても、
ストローで、本当に紅茶でも飲むかのように飲むAに、
隣に並ぶ男たちが驚いた表情を浮かべている。

「あのカクテル、萩原があの女に頼んだんじゃねぇだろうな」

「ち、違う違う。あの子が自分で…」

「は？…自分で頼むやつっていんのかよ。
あれは男が女に頼むってやつじゃねぇのかよ」

「いやいや、陣平ちゃん。
それ、だいぶヤバい発言っていうか卑猥だから」

「お前に言われたくねぇよ」

顔を見合わせて何やらコソコソと言葉を交わす男たち。
彼らに一切関わる気はなさそうで、Aは平然とその”アイスティー”を飲んでいる。

( …ちょっと、強いかな…。)

そして、頼んだ意図が、
”自分が飲みたいから”というものだけではないことに、
Aは自嘲気味に口元を緩めた。

大して酔わない体質のくせに、
やはりこういうところは、アルコールの影響がある訳か。
普段抑えている何かが、ふと現れてしまいそうになるのだ。