Rain (3)【名探偵コナン】

捜査一課の刑事さん_4 ページ25

『…お店には来られていないので、
別の用事じゃないでしょうか。』

萩原と鉢合わせしたあの日から、松田は店には来ていないはずだ。
笑顔を作るAに、高木は、“すみません、変なこと話してしまいましたね。”と苦笑いをした。

そして、

「今更で、逆に不快にさせちゃうかもしれませんが、
あの、桜田の事件のときは...、ご迷惑をおかけしました。
今後は、十分に注意するようにしますので…」

と、ペコリと頭を下げた。

その後ろで、頭を下げることなどはしなかったが、
伊達は少しだけ申し訳なさそうに笑っていた。

あのSNSの書き込みに気づき、松田に教えた高木は、
気になって松田や佐藤から話を聞いていたのだ。
客足が減り、
一時的とはいえ、店を閉めざるを得なくなっていたこと。

同じく、その話は伊達の耳にも入っていた。



『あ…。
…もう、ずいぶん昔のことですから。
お客さんもすぐに戻ってきましたし。
わざわざそんな風に言っていただいて、ありがとうございます。
ぜひまたいらしてくださいね。』

「はい、ぜひ」


テーブル席で、
高木が申し訳なさそうな顔を浮かべていた気がしたのは、
あの件を気にしていたのか。

Aは今度は自然にニコリと微笑んだ。

「あぁ。コーヒー美味かったからな、また来るな。嬢ちゃん」

『あ、ありがとうございます』

そして、伊達の言葉にその笑みは苦笑いに変わった。

Aは、どちらかと言えば童顔だが、
しかしさほど幼い訳ではない。
しかし伊達と並べば、確かに若く見えるのかもしれない。

29歳という伊達の実年齢。
そして、松田や萩原と同期だということ。
さらに彼の同期には、Aが勝手に自身より年下だと思っている、
あの喫茶店ポアロの安室もいることなど、知る由もなく。
嬢ちゃんなどと呼ばれる今の状況に、
苦笑いの混じった営業スマイルで2人を見送るAだった。

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