Rain (3)【名探偵コナン】

知っています。_3 ページ14

「ご注文はお決まりですか?」

「ブレンドコーヒー貰える？」

「はい！少々お待ちください！」


萩原はいつものように入口側のテーブル席に座ると、
注文を取りに来た由紀に、やはりコーヒーのみを注文した。
あの、色男の笑みとともに。


「Aさん、ブレンドコーヒー1つ、お願いします！」

『あ、そろそろ15時ね。あとは私がやるから、由紀さん、上がって？』

「あ、はい！ありがとうございます」

エプロンを外し、由紀が店の奥へと入っていくと、
Aは萩原が注文した分のコーヒーを入れ始めた。








―――――


『お待たせしました。ごゆっくりどうぞ』

由紀が帰った後、コーヒーを運んできたAがニコリと微笑むと、
萩原もまたさらりと微笑みを返し、”ありがとう”と告げた。

そして、

「…松田、最近ここに来てる？」

とAに問いかけた。


『え…』

「あ、来てないなら良いんだけど…。
気にしないで？」

小さく首を傾げて、
目を細めた萩原は、湯気の漂うコーヒーカップに口をつけた。
その表情に、
やはり女性慣れしているような、そんな雰囲気をAは感じた。


『…ここしばらくは、お店には来られてないですよ。』

「あー…、そっか。」

『萩原さんは、お仕事で松田さんと会うことはないんですか？』

「あー。ちょっと俺らは部署が違うからね。
あんまり、ないかな。」

“そうなんですね”と笑うAの営業スマイルは、
少しだけ寂しそうで。
勘の良い萩原にとっては、すぐに分かってしまう。


「店に来てないなら、アイツから何か言われたり、してない…よね？」

『え…、何かって…』

「あー、何もないなら良いんだ。ごめんね？」

心配そうに目を細めて口を開いていた萩原は、
Aが不思議そうな顔をすると、
再びコーヒーカップに口をつけ、
“やっぱり美味いな。ここのコーヒーは。”と、取り繕うように呟いた。

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