捜査二課の女刑事_6 ページ32
Aが女性を宥めていたその後ろで、
「…に、逃げろ…!」
「やった…!解放された…!」
目出し帽を被った犯人3人が撃退されたことに、
口々に騒ぎ出し、床から立ち上がる人質だった人々。
Aに寄りかかるようにして涙を流していた女性も、
はっと我に返ったように駆け出した。
そして、入り口のシャッターの方へと次々と駆け出していく人質たち。
後ろ手を拘束されたままで。
その中には、もちろん、支店長の市川の姿もあった。
『…ちょ、ちょっと待って…!』
Aの声は届くはずもなく、
騒がしくなる店内で、床に伸びている男2人の方へと向かうA。
手錠は女に使ってしまった。
伸びている大柄な男のポケットを探りガムテープを取り出すと、
自らがされたように、伸びたままの男を後ろ手に拘束した。
その後ろでシャッターが開く音がし、ちらりと視線を向けるA。
もう外はすっかり暗く、
待機しているパトカーや機動隊の姿が目に入った。
そして、リーダーの男も同じように拘束しようと、Aが近づいた時――
「…ずいぶん暴れてくれるじゃねぇか。
こうなりゃ、道連れだ。”無能な二課の刑事さん”」
男が上着のポケットに手を入れた。
『…!』
とっさに、その腕を掴むA。
ゆっくりと取り出されたのは、リモコンのようなスイッチだった。
(…爆弾の起爆スイッチ?)
焦るAの後ろで、
騒がしい声とともに、外へ出ていく人質たち。
入れ替わるようにして入ってこようとするのは機動隊だ。
しかし、人質達が次々に外へ出てパニックのような状況に、
簡単に内部へ入ってくることが出来ない。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月17日 12時