捜査二課の女刑事_5 ページ31
そして、
入り口で、人質の女性に銃を突きつけていた女の犯人に視線を向けるA。
女の手は震えているようだ。
「…!」
『…離しなさい。』
先ほどまで握っていた犯人の銃を、
もう一度掴み、女の方へと構えるA。
その手首から血を垂れ流しながら。
(…どうする?)
人質に突きつけている銃はおそらくモデルガン。
リーダーの男も、銃ではなくナイフで襲いかかってきた。
本物を持っていたのは、大柄な男のみだ。
そして、その銃は今Aの手にある。
リーダーの男と、大柄な男は、
2人とも気を失っているようだ。
しかし、爆弾の起爆スイッチを、あの女も持っているかもしれない。
それ以上に、
右手首を負傷したAが、確実に照準を合わせて発砲できる訳がない。
『…必ず捕まえてやるわよ。
貴方達がこんなことしなくても、必ず…』
女へと銃を構えつつ、震える人質たちに目を向けるA。
先ほど泣いていた子どもは、
ナイフや銃声に、緊迫した状況に、もはや声を出さず、ただ震え続けていた。
ゆっくりと近づいてくるAに、
犯人の女は、人質に”銃"を突きつけたまま手を小さく震わせるだけだ。
そして――
目の前まで近づいてきたAに銃口を向けられると、
そのまま、手に持った”銃”を手放した。
(…やっぱり、モデルガン…)
取り上げた銃に印字されている製造メーカーと思われる記載に、
目を細めるA。
女に銃を突きつけられていた人質の女性は、
その目から涙を流しながら、肩を震わせ、
Aに抱きつくように寄りかかってきた。
『…大丈夫です。大丈夫…』
女性の背中をさすりながら、
Aは、諦めたように床へ座り込む犯人の女に手錠をかけた。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月17日 12時