オレンジ色の資料室_2 ページ2
その10分後。
「…まだいるのか?」
明かりがついている資料室に、
静かに入ってきた長身の男。
30分ほど前。
警視庁公安部で必要事項の確認を行った後、
伝え忘れたことがあったことを思い出し、景光を探しにきた降谷だった。
降 「…ヒロ?いるのか?」
そっと奥へ足を運ぶ降谷。
そして、目に入ってきたのは、
奥のデスクに突っ伏している誰かの姿。
降 「…は?」
その姿から女性であることは分かる。
資料室で居眠りとはずいぶん不用心だなと、ゆっくり近づくと、
腕の間から見える横顔から、
それがAであることを認識する降谷。
捜査資料ファイルを積み上げて、
机につっぷしながらあどけない表情で眠る、
Aであることを。
降 「…」
スースーと、小さな寝息を立てながら眠るAの目元には、
うっすらとクマができている。
捜査資料の上で眠るとは。
いくら警視庁内とはいえ、
調べている資料の内容から、
二課の捜査状況が他の部署に漏れる可能性もある状況だ。
降 「…変わらないな。Aは。」
最初に会った、警察学校の食堂でのAの姿を思い出し、
そして、目の前の決して褒められる姿ではないAを、
仕方ないな、という表情で見つめる降谷。
しかし直後、苦しそうに眉をひそめた。
降谷自身が変わったとでも言うように。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月17日 12時