Rain (2)【名探偵コナン】 (ページ6)

今日:26 hit、昨日:15 hit、合計:381,818 hit

小さなメモ_2 ページ6

『え…』

戸惑うAだったが、押し付けるようにしてメモを差し出し、
挙句、レジ横へそれを置くと、
何も言わず、あのジワリとした笑みをAに向けて店を出ていった。

困ったように目を細めて、そっとそのメモを裏返すと、
やはりそこには、電話番号が書かれていた。

どうするべきかと考えつつも、
しかし、接客業を営んでいる以上、客を不快にさせるわけにもいかず、
メモをエプロンのポケットにしまうと、Aはカウンターへと戻っていった。

そして、今日もまた、何故あの男と鉢合わせをするのかは謎だが、
萩原も店を訪れており、カウンター席でコーヒーをすすっていた。

「…大丈夫？」

『え？』

「なんか、困った顔してたけど。」

見ていたのか。
カウンター席から話しかけて来る萩原に、Aは何事もないように、
”大丈夫ですよ”と笑った。

しかし、時折この店で見かけるあの男が、
ちらちらとAに視線を向けていたことを萩原は知っていた。
先ほど、何かの紙を手渡されていたように見えた。

刑事ではないとて、萩原も警察官だ。
何やら気になるようで、
キッチンでコーヒーを入れているAを、
目を細めて見つめていた。