Rain (2)【名探偵コナン】 (ページ39)

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滲んだ赤_2 ページ39

「…お、おい…」

『…っ…うっ…』

「何、だよ…どうしたんだよ…何があったんだよ」

『まつ…だ…さんの、言う…っ…とおり、です』

目の前でボロボロ泣き始めたAに、
どうしたものかと困った表情を浮かべた松田は、
Aの両手首を掴んでいた手を片方外すと、
そっと、その背中に回すような格好をした。

男とは関わり合いたくない、と言っていた相手なのだ。
恐る恐る、手を伸ばす松田は、
捜査一課の刑事として店に現れたときの、
あの威圧感を纏った人物とは別人のようだ。

『さっき…、ゆ、侑斗…っ…が、来て…、
キス…され……て…っ…』

その目から溢れる涙は止まる事なく、
片方の手首を掴まれたまま、はらはらと涙を流すA。
目の前にあるのが松田の身体だとは分かっていないように、
それにすがるようにして。

そして、あやすように、その背中に手を当てようとしていた松田は、
もはやAを抱きしめるかのような格好で。

肩を震わせ嗚咽を漏らす腕の中の人物の背中を、
松田は困った表情でゆっくりとさすり始めた。