アテになんねぇ”大丈夫” _2 ページ24
『ちょ、ちょっと…何するんですか…!』
「…あのなぁ。
謝ってきたかもしれねぇけど、それにアンタはちゃんと断ったって言ってっけどな。
それでもどっかでアンタのこと見てるかもしれねぇだろ。
昨日みてぇに後ろ付けてくるかもしれねぇだろ。
そんな簡単に諦める奴じゃねぇかもしれねぇだろ…
大丈夫じゃねぇことくらい分かるだろうが。
…もうちっと警戒しろよ。アンタ、どんだけ男運ねぇんだよ。」
『…そ、それは…』
捲し立てるように、Aの警戒心のなさを指摘する松田は、
表情を歪めてため息をついた。
そして、Aの腕をやんわりと引っ張ると、
人目を気にしながら、さりげなく道の隅へと移動した。
「だから、しばらく1人で帰んな。
…誰か一緒に帰る奴がいるなら、それで良いけどな」
『…』
店が終わった後は、1人で帰宅するのはいつものことだ。
由紀は当然、Aよりは先に帰る訳で。
桜田一真と付き合っていた間も、
彼が店に来ることは度々あったが、
店が終わった後に自宅に送ってもらうようなことは無かった。
今思えば、家族がいたのだからそれは当然なのかもしれないが。
「…送ってってやるから。頼むからもう少し警戒しろ。」
昨日あんなことがあったばかりだ。
普段は面倒ごとが嫌いな松田だが、
警察官としての正義感からか、
あるいは別の何かか。
松田はAの腕を掴んだまま、
歩き出そうとしたのだが、
その腕はパッと払われてしまった。
『すみません…。ちゃんと、警戒するようにします。
でも、大丈夫…ですから。
何かあったら連絡…します、から。』
Aがそっと両手を広げて、松田と距離を取るような仕草をすると、
松田は申し訳なさそうに目を細めた。
「…悪りぃ。強引だった…な。
俺が嫌なら、萩原なら――」
『…そうじゃ、なくて…!』
「…ん?何だよ」
自身が嫌われているか、
何らかの理由で”自身が”拒否されている、と感じた松田だったのだが、
声のトーンを上げたAに、困ったように眉間に皺を寄せた。
『…松田さんが嫌だとか…、そういうことじゃなくて…』
「…だから、何だよ。
また根拠のねぇ、”大丈夫”、か…?」
『…そうじゃなくて…
そう、じゃなくて..。』
「…何だよ。」
伏せ目がちに眉をひそめて困った顔をするAに、
松田もまた、眉をひそめ、後ろ頭を掻くような仕草をした。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月14日 21時