事情聴取_3 ページ8
「今日、この男に会ったか?」
『…いえ。会ってませんけど。彼がどうかしたんですか?』
「今夜、背後から刺されて救急車で運ばれた。」
『…え…』
松田から聞かされた事実に、Aは少しずつ呼吸が浅くなるのを感じた。
「通報があったのは今夜19時ごろだ。アンタ、本当に店にいたのか?」
『無事なんですか…?
彼は…、無事なんですか?』
「…命には別状ないみてぇだ。意識もあるしな。
ただ、後ろから刺されて犯人の顔は見てねぇらしくてな。
――その焦ってる様子、演技じゃねぇだろうな」
『疑われてる、ってこと…ですよね』
こんな時間に、自宅を訪ねてくる刑事。
桜田が刺されたという時刻に、どこにいたのかを聞いてくるということは、そういうことだ。
「4日前の夜。杯戸町の公園で、偶然アンタとこの男が口論してるのが聞こえてきてな。
アンタが、平手打ちしてるところも見ちまったしな。」
『…』
「詳しく聞かせて貰おうか。」
もう夜も遅く、気温も低い。
玄関先で会話をしていた2人だが、
Aは、そっと玄関へ松田を招き入れた。
それに、会話の内容自体、あまり聞かれたくない話なのだ。
『…別れたんです。あの夜。』
「別れた?」
『それだけです。』
「…へぇ。不倫ってやつか。で、口論の原因は?」
『不倫じゃ…ありません。知らなかったんです。』
「知らなかった?」
自身が招き入れたとはいえ、玄関で見上げる松田はずいぶんと背が高く、
責められているように感じたAは、一瞬目を合わせた後、すぐに俯いてしまった。
353人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:white12 | 作成日時:2019年11月12日 20時