検索窓
今日:3 hit、昨日:24 hit、合計:133,660 hit

勘違い_3 ページ19

『また、好きだって言われた。
そう、言ってくれた。』


“そう、言ってくれた”
そんなセリフは、数ヶ月前のAなら考えられない言葉だ。

“思ってもないことなんて、口に出来ないし、それが良いことだとは思わない。”

もっと良い断り方があったんじゃないのか。
そう言われた萩原に、文句を言った数ヶ月前とは違い、
ほんの少しは、向けられた好意に、
ほんの少しだけは、井上の好意に、ちゃんと向き合うようになったということか。

降谷と、景光と色々なことがあったこの2週間。
Aとて、何も考えていなかった訳じゃない。
いや、この2週間というわけではなく、
降谷たちと、塔子たちと関わる様になったこの数ヶ月で、
Aの感情的な部分が確実に変化していることは、確かだった。


『彼には前にも同じ事言われたけど、
そのときは彼のこと何も知らなかったけど…
今は、彼の名前も知ってるし、何度も話した事もある人だし。

でも、そんな風に考えた事なんてないから。
断ったわよ。』


降 「…」

『…気になって仕方ない人がいるから。
イライラするのよ』


降 「…は?」

苛立ちを抑える様に、小さく息を吐くAに、
降谷は理解が追いつかない。

『…何なのよ。
私だから、手加減したとか…
分からせようとしたとか…』

降 「…」


『意味分からないのよ…
回りくどいって言ってるの』


苛立ちを整理できない様に、
徐々に声が小さくなるA。
その表情は、少し苦しそうに目を閉じている。
少しずつ弱々しくなるその言葉に、降谷は反論することが出来なかった。


『…何なのよ。
イライラして、思考がまとまらないのよ。』


降 「…」


『…降谷に、手加減なんか、して欲しくなかった。

あんな風に、ベンチに押さえつけられて、
訳が分からなかった…。
熱があったなんて、降谷にバレたくなかった…』

苛立ちを吐き出す様に、
地面を見つめながら、小さな声でポツリポツリと話すA。
その目の前で、降谷は目を細めていた。
ヒートアップしかけていた自身の感情が、
まとまらない感情が、
Aの苦しそうな表情を前に、すっと冷静になる感覚があった。

勘違い_4→←勘違い_2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (144 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
215人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

white12(プロフ) - ra -ra さん» コメントありがとうございます。SNOW DROPは,拙いながらも私自身けっこうお気に入りでして,警察学校組好きが溢れた作品でした。お楽しみ頂けていたなら本当に嬉しく思います。 (2021年5月26日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - やばい。何度読んでも面白い! (2021年5月18日 16時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 燎彩さん» とても嬉しいコメントありがとうございます!最高と言っていただけて本当に嬉しいです。長くはなりますが、続編 (II)も更新中ですので、もし宜しければお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月23日 13時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
燎彩(プロフ) - 完結お疲れ様でした!語彙力皆無なので一言だけ…最高です!! (2020年1月22日 11時) (レス) id: c873624ead (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - さちさん» 本作をお読み頂きありがとうございました。面白かったと感じていただけてとても嬉しいです。もしよければ続編もお楽しみ頂ければ幸いです。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:white12 | 作成日時:2019年9月1日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。