extras…χ 託される願い � 、┘螢�エスト編 ページ17
extras…χ 託される願い
エルフの里が一望できる、小高い丘。
その頂上に、優しい風に揺らされながらひっそりと立つ大きな木がある。
ここに来たのは、初めてではない。
小さい頃何度か隼に連れられ、黄色い朝顔の花を供えた事がある。
木陰に膝をつき慇懃に手を合わせる隼の隣で、イルアもまた手を合わせていた。
そして、家から持ってきた黄色い朝顔の花を木に添える―――
「あら―――隼さんと…イルアちゃん？」
金髪の柔らかな髪を揺らしながら、彼女は緑の瞳を細める。
後に着いて来ていた侍女を後方に下がらせ、彼女は黄色とオレンジの花で作られた花束を朝顔の隣に添えた。
「お久しぶりです、ハノン様」
礼を尽くす隼に倣い、イルアはスカートの裾を両手で上げ頭を下げた。
「ふふっ！大きくなりましたね、イルア―――」
「お久しぶりです、エルフの姫様」
ハノンは腰を落とすと、緑の瞳を一層細めてイルアの朱色の髪を優しく撫でる。
「ますます、アリーに似てきましたね」
「―――……俺には、似ていないですか？ハノン様」
「ふふ！美しい水晶の様に澄んだ青紫の瞳は、隼さんと同じですね」
エルフの長ハノンに指摘され娘のイルアをじっとみると、彼女もまた、隼を見上げていた。
青紫の大きな瞳が、じっと隼を見つめている。
そう言えば、自分の瞳などまじまじと見る機会などなかった―――。
妻のアリアからも、イルアの瞳は隼のそれと同じだと言われたことがある。
「そうそう！アリーは元気にしていますか？」
隣からかかる声に、はっと我に返る隼とイルアは、同時に「「はい」」と声を上げる。
「あ―――」
シンクロする父娘に、ハノンは柔らかく微笑みを浮かべた。
「流石―――父娘ですね」
隼達の隣に並び、ハノンは木の根元に供えた花に向かって静かに手を合わせるハノン。
その様子をじっと横目見ていたイルアは ふと浮かんだ疑問を、思わず口にだした。
「エルフの姫様も―――この木に特別な思いを持っているのですか？」
隼は、毎年この日にはどんなに仕事が忙しくても 必ずこの場所を訪れていた。
その木の根元には、とても珍しい黄色い朝顔を添えるのだ。
木に祈りを捧げる隼は静かで―――どこか寂しそうで。
一緒に来ていたイルアは、ずっとそんな父の姿を観てきた。
―――この木には、父上の大切な思い出があるのだろう。
小さい心に感じていた疑問は、祈る隼には聴けなかった。
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kohaku(プロフ) - 美園さん» こちらこそ、リクエスト頂き有り難うございます！この作品の大きなテーマが”暁天（夜明け）”であり、繋がりだと思っています。皆様の素敵なキャラクターと繋がれたおかげで、完結することが出来ました！本当に感謝です！ (2022年1月8日 22時) (
レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 彩華さん» 有難うございます！作中で成長していく主人公のように、この”暁天の星”自体が、関係を組んでいただいた皆様に見守られ、支えられて紡がれた作品だと感じ、感謝でいっぱいです！そして、イルアにも心温まるメッセージ、有難うございます！ (2022年1月8日 22時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - この話を支えてきたみんなから次の世代へ繋がる…やはり世界は回りますね…長文失礼しました！本当に素敵なお話ありがとうございました！ (2022年1月8日 19時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト叶えてくれてありがとうございます！しかもシノンちゃんの…やばい泣けてきます…そして紙芝居ってあの紙芝居ですかね？もう何回も読み返しても心にグッときて…これからも何回も何回も読み返させていただきます！ほんとうにありがとうございました！ (2022年1月8日 19時) (レス) @page20 id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - 隼さんからだけじゃない、一緒にストーリーを紡いできた皆様からの作品に込められたメッセージが身に沁みます…！そして…大きくなりましたねイルアちゃん…お父様とお母様の愛情をたくさんもらって、伸び伸びと生きていってね…うちの2人も影から見守ってますからね… (2022年1月8日 17時) (レス) @page20 id: 324e983886 (このIDを非表示/違反報告)
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