第20夜：Fraction（破片） �� ページ22
―――否…違う ！！！
陸翔の険しい表情を確認した時には、身体を抱えられ、ものすごい勢いで後方に引き戻された。
同時に、すべての色と光すらも吸収するブラックホールのような黒い塊が、
周囲の空間諸共吞み込んでいく。
広がった黒い塊は、そのまま森の一部を飲み込んで消えた―――。
残されたのは…いや、そこには何も残されていなかった。
一つの空間が、そのまますっぽり 消えてしまったのだ。
「―――なんですか、あれ？！」
隣では、レノンがシドを抱えて退いていた。
突如目の前で起こったこの不可思議な現象に、青ざめた彼の表情は、当然だろう。
あのまま突っ込んでいたら隼達もまた、あの黒い塊に呑み込まれて消えていたのだから。
「この規模の“黒塊”を見るのは、久しぶりだな……」
抱きかかえられた頭の上で、陸翔の低い声が降る。いつものふざけた様子は微塵もなく、その声から、強い緊張感が伺えるほどだ。
「陸翔さ……」
顔を上げようとすると、金色に瞳を光らせた陸翔が、隼の頭を抑え込む。
「まだ近くにいる。黙ってろ」
気配をひそめる陸翔の腕の間から隣を見ると、レノンもまたシドを庇うように気配を殺していた。
張り詰めた緊張の中、自らの心音だけが嫌に響く。
―――隼は“アレ”を、見た事があった。
ソレは数年前――― 一瞬にして大切な人達を吞み込んでいった。
心音と共に、黒い感情が湧き上がる。
「……抑えろ、ハヤト」
陸翔の声で、我に返る隼。
感情的になるあまり、無意識に変装が解け鬼本来の角が出てしまっていた。
息を押し殺している間の時間が、とてつもなく長く感じる。何時間も緊張を持続していたような疲労感が、心を襲った。
黒塊の気配が消えた事を確認し、陸翔はゆっくりと隼の身体を離した。
感情の高ぶりは治まったのか、再度狼男への変装を整えてはいるが、その顔は青ざめ、四肢は小刻みに震えている。
「大丈夫か？ハヤト」
「―――……」
震えるだけで返事を返せない隼の表情から、“彼”に“何があった”のかが想像できる。
陸翔もまた、“被害者”だから―――
―――陸翔の弱点を探っていた折、得てしまった情報。
彼もまた、大切な人を黒塊に呑み込まれた―――。
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kohaku(プロフ) - レイレインさん» 有難うございます！師弟の回はもう少し続きます…！ (2021年5月27日 7時) (
レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - この陸翔と隼の関係、好きです！やっぱり結局は師弟なんだな。と温かくなります。 (2021年5月27日 6時) (レス) id: b67eda2bb0 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - いえいえ、こちらこそ身内みたいで見てて微笑ましいです！これからも身内みたいな幼馴染お願いします笑 (2021年5月26日 18時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» すみません…CSの関係逸脱してしまっていますかね…（汗）ハノンさんの事は、身内のように心配して、大事にしています！（陸翔達のCSで、ハノンさんとの関係欄のセリフ参照位に…照） (2021年5月26日 18時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
セレーネー(プロフ) - kohakuさん» よし、応援します！頑張れ！隼さん！ (2021年5月26日 18時) (レス) id: f5691cda52 (このIDを非表示/違反報告)
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