第15夜：群青の空 �� ページ3
サキュバスの里／Dreamer
カラン……と、ドアベルが艶やかな音を立てる。
「いらっしゃいませ〜あら―――」
来客に腰を上げた女店主はドアに視線を向けると、そこに立つ女性に笑みを返した。
「どうしたの？突然来るなんて、珍しいわね」
客人は店のドアの前に立ったまま、申し訳なさげに視線を伏せる。
その表情は、どこか覇気がなく、疲れているようにも見えた。
「すみません、リリン様―――色々、相談したいことがあって」
「いいわよ〜今はお客さん誰もいないから、こっちにいらっしゃいな？ミスト」
サキュバスの里長であり店の女主人でもあるリリンは、悪魔の角と背にコウモリのような羽を持つサキュバスに扮した隼を、店の中へと呼び入れた。
カウンターに座らせると、「まずは落ち着いて」とハーブティを差し出す。
鼻腔をくすぐる優しいローズとラベンダーの香りが、煮詰まった思考回路を柔らかくほぐしていく。
「―――……」
カップに口をつける隼を横目で見つめながら、リリンは頬杖をついた。
濃紫の髪がさらりと肩を滑る。
「で―――私に相談したいことって、なに？」
リリンの問いかけに、サキュバスに扮した隼はハーブティをテーブルに置くと、表情を変えずに尋ねた。
「―――リリン様、“店の合間にデートしてくれませんか？”」
「あらあら―――“３歳と５歳の子達も一緒に連れてきていいかしら？”」
「えっ？！！」
目を丸くさせて身を引く隼に、リリンは笑顔を崩さずさらりと答えた。
「ナンパの断り方でしょ？」
「―――……よくわかりましたね、私…何も言ってないのに」
「分かるわ！ミスト、狙われやすそうだもの」
隼が視線をそらせて乾いた笑いを見せると、「要は相手に、“コイツはめんどくさそうだからやめとこう”と思わせればいいのよ」と説いた。
(ははっ……本気で子供いるのかと思ってしまった―――流石リリン様、自然過ぎて怖い)
「ミストはお仕事のせいか一人で行動すること多いし、服装は地味だし、押しに弱そうで隙だらけ！」
「そうですか？！」
「適度な隙を作っておびき寄せ、ひらりと掌の上で踊らせる―――。それが“いい女”の断り方よ？」
ライトグレーの猫目を細め、妖艶に微笑むリリンは魅惑的で美しい。
この微笑で、今までどれだけの男達を虜にしてきたのだろうか…。
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kohaku(プロフ) - レイレインさん» 有難うございます！師弟の回はもう少し続きます…！ (2021年5月27日 7時) (
レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - この陸翔と隼の関係、好きです！やっぱり結局は師弟なんだな。と温かくなります。 (2021年5月27日 6時) (レス) id: b67eda2bb0 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - いえいえ、こちらこそ身内みたいで見てて微笑ましいです！これからも身内みたいな幼馴染お願いします笑 (2021年5月26日 18時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» すみません…CSの関係逸脱してしまっていますかね…（汗）ハノンさんの事は、身内のように心配して、大事にしています！（陸翔達のCSで、ハノンさんとの関係欄のセリフ参照位に…照） (2021年5月26日 18時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
セレーネー(プロフ) - kohakuさん» よし、応援します！頑張れ！隼さん！ (2021年5月26日 18時) (レス) id: f5691cda52 (このIDを非表示/違反報告)
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