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「A先輩
そういえば
松本教授の本くれるって
言ってたじゃないですか？」
え？
「...そうだっけ...?」
そんな約束したかな...
「うわっ
ひどいな
明日使うって言ったじゃないですか」
可愛く頬を膨らませて
いつの間にか私の横に立っていた
櫻井くんを見上げる
「明日...?」
「そう
明日です」
うそ...
どうしよう
「って事で
行きましょう？」
「ん？」
「先輩の家」
「は？」
「送って行く
ついでですよ」
「だっ
大丈夫だよっ」
「俺の単位は？」
「あ...」
「...」
「はい...」
女子達と智さんの視線が痛い
ものすごーく
痛い
私の胸も
「...じゃあ」
「はい
という事で
俺達お先に失礼します」
「えっ
翔くん主役でしょ？」
ざわめく女子達に
ウインクでもするように
「また
誘ってください」
そう言って
メロメロになってしまっている
女子達の間をすり抜け部長の前に行き
「部長
本日は僕のために
このような場を設けていただいて
ありがとうございます。
申し訳ございません。
俺
明日一限からテストあるんで
そろそろ失礼してもよろしいでしょうか」
お行儀よく挨拶をする
「おー
悪い悪い
櫻井くん学生だったな
うんうん
またな」
すっかり出来あがった部長が
櫻井くんと両手で固い握手を交わす
そして
「先輩行きましょう」
アイドルスマイルで
鞄を持って立ち上った私の腰に
軽く手を当ててエスコート
「大野主任
今日はありがとうございます
お先に失礼いたします」
そのまま
智さんに挨拶をする
私は顔も見れずに
下を向いたまま
軽くお辞儀をして
櫻井くんにエスコートされるまま
その場から去る
智さんがこの状況で
どんな顔をしていたなんて
分からない
知りたくない
ずるいよね
櫻井君の単位を利用して
私の気持ちを優先してしまった。
この場から
とにかく逃げ出したかった
そこに櫻井君からの
救いの手が差し伸べられた
割り切っていたなんて嘘
智さんの家庭の事情を聞いて
すごく動揺してしまった
.
.
そのまま
櫻井くんと並んで歩く
金曜日だから
こんな時間でも
まだまだ人がたくさん行き交う
あ
「あぶねっ」
咄嗟に
すれ違う酔っ払い達に
ぶつかりそうになった私を
櫻井くんが肩を抱いて守ってくれた
「ありがとう」
「いいえ」
にこりと微笑んで
パッと
手を離す
いつもの
その綺麗な顔に
安心して私も微笑んだ
.
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ことら(プロフ) - コメントありがとうございますm(__)mとても励みになりました！頑張ります。 (2020年1月26日 20時) (
レス) id: 3fdd75fac9 (このIDを非表示/違反報告)
umi(プロフ) - 色々と複雑な気持ちの中で書き続けてくれてありがとう。私は潤担なので比べ物にならないけど心中お察し致します。辛い時は休んでいいです。ゆっくりでも最後まで更新して頂けると嬉しいです。 (2020年1月26日 11時) (レス) id: 70b1e6f34a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことら | 作成日時：2019年12月5日 7時
