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私ってもしかしたら疫病神なのかもしれない｡自分にだけ危害が及ぶなら致し方ない｡だけどミヤちゃんまで巻き込むなんて｡最悪がすぎる｡
何で私がこんな突拍子もないことを考えているか｡答えは簡単だ｡
｢ハッ、間抜け面がよく似合うなあ？｣
この忌まわしい肺炎球菌に人質にされてしまったからだ｡あーあ、何でこんなことに｡
遡るは数分前｡そっか、まだ10分も経ってないのか｡もう1時間くらい経ってるもんだと思ってたんですけど｡
私とミヤちゃんの行き先がたまたま同じ方向で、一緒に配達先に向かっていたわけ｡のんびりゆったりしゃべりながら、仕事してただけなのに｡平和は一瞬でぶち壊された｡
突如突き破られた床｡
飛び散るコンクリート｡
舞う砂ぼこり｡
叫ぶ暇なんか、まったくなかった｡
肺炎球菌の触手が見えた途端、合図なんかちっともしていないのに私とミヤちゃんはさっき来た道を一目散に駆け出していた｡逃げなきゃって、ただただ本能の叫ぶままに｡
でさ?本当に運が悪かったんだけど、私転んだんだよね｡そこらへんの小石かなんかにつまづいてさ｡そんでこれもツイてなかったとしか言いようがないんだけど、転んだ拍子に足を挫いちゃったんだ｡
ミヤちゃんは少し先を行ってたにも関わらず、私に気づいて引き返そうとしてくれたの｡やっぱりどこまでも優しいんだよ、あの子は｡でももうすぐのところまで肺炎球菌は迫ってきていた｡
だから、私は｡
｢来るなっ!｣
ミヤちゃんは方向転換しようとしていた足をピタリと止めた｡何が起こったか分かんないって顔して｡
｢私のことはいい、だから早く行きなさい!｣
我ながら死亡フラグ建てまくりだったな｡でも仕方ないよね、緊急事態だったし｡
｢で、でも｣
ミヤちゃんはいい子だから、なかなか私を見捨てられなかった｡そうだよね、私も今と逆の状況だったらきっと踏ん切りつかなかったと思う｡違うな、きっとじゃない｡絶対そうだ｡
でもね、ミヤちゃん｡
あなたを死なせるわけにはいかないの｡
｢AE3803!｣
……あーらら｡びっくりしてる｡呼び捨てなんて初めてだもんな｡
｢早く行け!行かないなら嫌いになるから!｣
ごめん｡ごめんね｡
そんな顔、させたくなかった｡ミヤちゃんの傷つく顔なんて、見たくなかったよ｡
ミヤちゃんは息を飲んでから走り去っていった｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年9月19日 17時
