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そして運命のあの日｡
あの日は好中球先生が特別授業をしてくれる日だった｡温厚そうな先生が豹変した時は超怖かったわ｡今思えばあの先生、かなりの演技派だったんだな｡
怖くて私は必死に逃げた｡隠れてじっと息を潜めていた時、私見つけちゃったんだよね｡
明らかに逃げるべき方向とは違う方へ走っていくミヤちゃんを｡
手を繋いで一緒に逃げればよかったなって今でも思う｡でも他の女の子に先を越されちゃったから、結局私は1人で逃げたんだよな｡
ミヤちゃんって呼びたかったけど、声を出したら好中球先生に見つかっちゃうから｡彼女が部屋から出ていくのを黙って見ていることしかできなかった｡
放っておくわけにはいかなくて、好中球先生の目を盗んでなんとかマクロファージ先生にそのことを伝えにいった｡そしたらマクロファージ先生もミヤちゃんのことを探してたんだ｡
｢案内してもらえるかしら｣
私は2つ返事で引き受けた｡だってミヤちゃんのためだもん｡ただただ心配だった｡来るなって言われても多分ついていったと思う｡
好中球先生もついてきてくれた｡あの時好中球先生がきてくれてなかったら……マクロファージ先生が殺ってたか｡マクロファージ先生、すごく強いし｡
案内っていってもどっちに行ったか、それしか分かんなかった｡私が隠れていた場所からじゃ、見える範囲は限られてたから｡案の定、私たちは途中で立ち止まってしまった｡
でもミヤちゃんの泣く声がかすかに聞こえたんだよね｡あの子の泣き声は聞き慣れてたからすぐに分かったの｡
私が駆け出すと先生たちも後を追いかけてきた｡だんだん声が近くなってきて、次の角を曲がったら｡
｢ミヤ、ちゃん｣
小さな声しか出なかった｡初めて見る細菌は後ろ姿だけでも十分迫力があって、距離はそう近くなかったのに怖かった｡そいつに襲われたミヤちゃんたちは、もっとずっと怖かったんだろうな｡
立ちすくんだ私は、ミヤちゃんのもとに駆け寄ることができなかった｡今にも暴力を振るわれそうなのは分かってたのに、私は何も｡
細菌の悲鳴が聞こえて我に返った｡好中球先生がやっつけてくれていたのだ｡好中球先生が細菌を斬りつけるのも、血が吹き出たのも全部がスローモーションに見えて｡
純粋にかっこいいと思った｡彼がこの世界を守ってくれている好中球なんだって｡
救世主である彼に、憧れないはずがなかった｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年9月19日 17時
