松田刑事_6 ページ24
『その中で、自白を強要させる必要があるのなら、
シンプルに考えて、
さっさと自白をさせて取り調べを終え事件を収拾させたい、ということ。
単純に本人の性格も大きいと思うけど、
例えば、他に大きな事件に関わっていて、もしくは関わりたくて、担当である木本の事件は早く終えたいという気持ちが強かった、という場合とか。
あとは、
とにかく成果を上げる必要がある場合。これは、昇進を望んでいる場合が多いと思われる。』
「なるほど…」
神山は、複数あったクエッションマークのいくつかが消えた様子で、
目をぱちぱちさせる。
『前者の可能性は消せないし、もちろん、松田刑事が不当な取り調べをしたかどうかは本人と記録係の警官しか知り得ないことだけど、
少なくとも、
後者の可能性はあまりなさそうかな、って。』
「でも、まださっきの捜査二課の人たちの話しか聞いてないですよ?」
あくまで第三者的な立場を。
情報が足りない。
と口癖のように言っている葵がそういう発言をするのは珍しく感じた。
『もちろん、断言しているわけじゃないわよ。
でも、神山くんも実際に話して、思ったんじゃない?
あの横柄な態度。
佐藤、って言ったかしら。
あの女性刑事、松田くん、って呼んでたから、少なくとも同僚か上司よね。
彼女が宥めてた様子からしても、きっとあの態度はいつものこと。
上層部とかお偉いさんにもあんな感じなのかもね。
さっきの人も言ってたように、上の意見を聞かずに突っ走るイメージ。昇進を焦るなら、あの態度はあまりないんじゃない?
ガッチガチの組織である警察なら、いくら成果をあげたところで上に反抗的な人は…ね。』
まぁ、わかるでしょ?
というように、葵は神山に視線を投げかける。
「..とすると、木本の話…」
、はやっぱり疑わしい。と続けようとして、
「…もう一度聞く必要がありますね!」
そう言った神山に、言葉の代わりに、口角を上げて葵は答えた。
すぐに結論に結びつけられる訳ではない。
推測はすれど、
少しずつ、確実に事実を明らかにしていく必要がある、
その考えは、神山にも、染み付きつつあった。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時