30. ページ30
「あれ?Aやんなにしとんの?」
最初に見つけたのはゾム先輩だった。
部活では長めの髪を後ろで束ね、目にかかる前髪もピン(大先生にもらったらしい)でとめているのに対して彼は普段の学校生活ではすべて流しっぱなしらしい。
しかも緑のパーカーを中に着ていて、完全に不良。
周りも関わらないようにしようと言わんばかりに距離を置いているのが分かる。
これに関しては正解の判断。
いつもの目つきの悪さに加えて治安の悪くなったそのお顔が一瞬誰かわからずぼけっとしたが、部活の帰りにもよくきている緑パーカーからやっとわかった。慌てて事情を話す。
「あー…すまん、俺寒さに強いから持ってきとらんわ。他の人尋ねや」
申し訳なさそうに謝られてしまった。
まあそうだよなと思いながら感謝の言葉を返し、その場を去った。
次にあったのは大先生だった。
隣に香水くさそうな女子を連れて、手を繋ぎながら歩いている。
狙っている女の子がいるから吹部に入ったとか言ってなかったっけあの人?
お世辞にも学校1可愛いとは思えない容姿のその人はまあどうせ遊びなんだろう。
人といるからと特に気を使う必要もないので「大先生」と声をかけた。
振り向いた彼に事情を説明している間にも隣にいる彼女の顔は険しくなっていく。
まあ大方誰よこの女とでも思っているのだろう。
大先生とそういう関係になることは絶対と言い切っていいほど無いから安心してほしい、わざわざ言う義理もないけれど
話を聞き、ああ、ええで。と言いかけた彼はいやちょっと待てよ…?と顎を撫で、言葉を続けた。
「いやごめんなぁ、そういえばカホちゃんがジャージ交換こしたい言うて今交換中やったわ。
カホちゃんのでもええなら貸すで?」
「えっ…いや大先生が手出した女子のジャージは流石にちょっと…
ちなみにカホさんとやらって今隣にいる方?」
私の言葉に大先生は隣を見やってから段々青ざめる。
隣にいる女性が拳を握って明らかに怒りを覚えていたからだ。
修羅場に巻き込まれる前に行こうと思い、サッサと足を進める。
後ろから聞こえる断末魔は聞こえないフリをしよう。
1173人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アキ(プロフ) - ミキさん» 暖かいお言葉ありがとうございます…!ぜひ最後までお付き合いください〜! (2021年3月8日 16時) (レス) id: 4f5928c036 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - ひぇ〜...主人公ちゃんを応援する同級生になりたい...すっごくときめきます!!最後まで追っかけさせていただきます!体調にもお気をつけて頑張ってください! (2021年3月8日 14時) (レス) id: 35c3ea89a9 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - きな粉さん» 甘々で読んでくださる皆さんをときめかせられたらいいなーっという思いで書いているのでとても嬉しいです!ありがとうございます〜! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 4f5928c036 (このIDを非表示/違反報告)
きな粉 - 遅い時間に申し訳ありませんー!この作品すっごい心臓がなんかギュンギュンする...。めっちゃ少女漫画みたいに甘々ですきです。応援してます! (2021年3月7日 0時) (レス) id: 4450df5064 (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - アキさん» はっすみません、そこまで知らなかったです。わざわざ解説までありがとうございます! 最後まで絶対追っかけさせてもらいます(予言)(笑) (2021年3月4日 18時) (レス) id: 70199b7489 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アキ | 作成日時:2021年2月22日 19時