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「あっ!神ちゃん、おはよ」
再びやってきた月曜日の朝に、けだるいオーラを吹っ切ることが出来ないまま、着いてしまった教室に入る。
そんな俺に、1週間が始まることに微塵も嫌気など感じていないような、爽やかな挨拶で俺を迎えてくれたのは、幼馴染みの重。
幼稚園の頃から、今の高校までずっと一緒で、ほんまにこんなんあんねや、って思うほどずっと仲良しで。
「神ちゃん神ちゃんっ」
重の後ろの席、まぁ俺の席やねんけど、そこに腰かけると、飼い主におやつをせがむ犬みたいなキラッキラした目で俺を見てきて。これ絶対しっぽブンブン振ってるやつやん。
「なにー?」
「んへへ〜笑」
「やから何やねんよ」
「うんとなぁ?なんも〜笑」
この世でこれ以上、純粋無垢に笑える人はおらんのとちゃうかってくらいなスマイルを俺に向け、俺の机に突っ伏した。
机の上に出してある俺の左手がターゲットになったみたいで、ひたすら薬指を無意味にフニフニ触りだして。何も考えてないようなふわーっとした表情で、ぼけぇっとしながら俺の指を触り続けてる。
俺も特に気にとめず、爽やかな秋晴れの空を眺める。
毎日一緒におりすぎて、ほんま話す話題なんてあらへんのよ。
そんでもさ、こうやって、無意味やけど近くにずっとおれることが、俺にとっては幸せで。
空いてる右手で、サラサラの重の髪に指を通す。
こうやって頭撫でてもらうのが、重は一番好きらしい。
「…神ちゃんの手、気持ちいぃ」
からっとした風が教室に吹き抜け、それにつられるようにゆっくり瞼を落とし、薬指を握ったまま眠ろうとする重。
「…しげ?あとちょっとでHR始まるで?」
「…んぅ、…かみちゃ」
んまぁ、しゃあないか、重に甘過ぎるんはわかってるけど、どうしても重は甘やかしてまうんが俺やもん。
こんなにも長い間重のこと愛してんのに、ずっと好きでたまらんのに、なんで俺はこんなにも報われへんのやろう、今まで何回思ったか。
それでも、俺が重に思いを伝えられへんのは、俺が重と結ばれることを心から望みきれへんのは、ヘタレやからとか、男同士やからとか言う理由ちゃうくて、重が、恋を知らへんから。
恋愛対称が、男でも、女でもない、無性愛者。
重は、恋を、知らへんねん。
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ゆみゆみ(プロフ) - もも神昴さん» 頑張ってください!ずーっと、作者さんのファンですっ (2015年11月12日 20時) (携帯から) (レス) id: 82229b043a (このIDを非表示/違反報告)
もも神昴(プロフ) - ゆみゆみさん» わわわっ、画像まで!ほんとやる気になります( 〃▽〃)更新頑張ります♪ (2015年11月12日 18時) (携帯から) (レス) id: 3c13edc17f (このIDを非表示/違反報告)
ゆみゆみ(プロフ) - もも神昴さん» いえいえです!画像も最高ですっ(^^) (2015年11月12日 17時) (携帯から) (レス) id: 82229b043a (このIDを非表示/違反報告)
もも神昴(プロフ) - ゆみゆみさん» 勉強だなんてっ、恐れ多いです(汗)でもそう言ってもらえて本当に嬉しいです(*´∇`*)ありがとうございます♪ (2015年11月11日 8時) (携帯から) (レス) id: 3c13edc17f (このIDを非表示/違反報告)
ゆみゆみ(プロフ) - いつも作者さんの小説を見て小説の勉強していますっ!今回も最高です(^^)更新がんばってください。 (2015年11月11日 7時) (携帯から) (レス) id: 82229b043a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも神昴 | 作成日時:2015年10月31日 16時