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トイレでの事があってから、
私はいつも
周りを気にしていた。
廊下で西畑とすれ違っても、
なるべく気づかれないように
前の人に隠れたり、
正門と話してる時も
あいづちだけうって
早く話を終わらせようとしたり、
放課後も、
あまり参加しなくなった。
誰かが見てる。
そんな気がしてならなかった。
前はそんなこと
あんまり考えてなかったけど
最近は
いつもそのことを考えている。
「いってきまーす」
朝、
また憂鬱な気分で家を出た。
気を使うって、
こんなに大変なんだ。
西「おはよ」
「西畑…」
久々に聞いた、
西畑の声。
家の門の前に
大好きな
彼がいた。
「…どうしたの」
西「いっしょに学校行こかなーって思って、
いつもより早起きしたんやで」
いつも結構ギリギリに来るけど、
今日は私の時間に合わせてくれたみたい。
どうしよ、
話すことがない。
西「なあ、なんで最近来おへんの」
近い距離。
1歩寄れば
肩と肩が触れ合う。
「…ちょっと忙しくて」
西「帰宅部のみんな、
Aのこと心配してんで。
なんかあったんかなって」
「え…」
そうやったんや…
西「…でも、一番心配してんの俺やから」
「…うん」
すると、
いきなり腕を掴まれて、
気づけば
顔との距離は3センチほどしかなくて。
「ちょっ!あかんて!」
咄嗟に離れてしまった。
こんな人通りが多いところで、
誰か見てたらどうしよって思って。
西畑を見ると
困ったような、
傷ついたような、
複雑な顔をしてた。
…わたし、
今
西畑を拒んだんや…。
「…ごめんっ」
いてもたってもいられなくて、
走ってその場を離れた。
はやく、
ひとりになりたかった。
その日はずーっと
頭がぼーっとして
授業なんか
聞いてられる状況じゃ無かった。
きっと今、
だれかに大丈夫かってきかれたら
…すぐに泣ける自信がある。
もう既に喉まで嗚咽がこみ上げてきそうで、
でもそれを必死にのみこんで、
喉がジーンとする。
あかん…
今日はほんまに、
無理や。
早退しようと決めて、
保健室へ向かった。
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美広(プロフ) - 丈くん、まさにし、しょうれん(つまり関ジュ)が大好きで、西畑メインの作品を探していて、読みやすくてすごくいい作品だと思いました!更新、まってます! (5月9日 20時) (レス) @page30 id: 0b2539d07f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LIKE√ | 作成日時:2017年4月22日 14時